人気脚本家のお墨付き
毎日食べても飽きないパンって?
共同ペンネーム「木皿泉」名義で作品を執筆する人気脚本家の、和泉努(いずみつとむ)さんと妻鹿年季子(めがときこ)さん夫妻。二人の朝食に欠かせないという、とっておきのパンを紹介してもらいました。
木皿家の朝食は、アボカド、ゆで卵、ハムかベーコン、ヨーグルトにキウイとブルーベリーを合わせアマニの粉末をふりかけたもの、野菜ジュース、コーヒー、そして、バターをたっぷり塗った食パン。
「朝ごはんを作るのがいちばん楽しい」と、手慣れた様子のトキちゃんこと妻鹿年季子さん。
なんと、パンは魚焼きグリルで焼き始めました。
「トースターが壊れて以来、もう8、9年近く仕方ないからこうしているのよ。でも、火の通りかたが均一じゃなくて焼きむらができるのがおいしそうじゃないですか?」
この日のパンは、『イスズベーカリー』の「北の大地」と、『トミーズ』の「あん食」の2種類を半分ずつ。トムちゃんこと和泉努さんと2人並んで、パリッ、サクッといい音をさせています。
「北の大地は中がもちもち。あん食はあんこの混ざり具合が絶妙。どちらもバターたっぷりがおいしくて。太るよね」(トキちゃん)
「僕は、本当はカンパーニュとかが好きなの」(トムちゃん)
「そう、ドイツ系の黒いパンにチーズとかねなものになりますね(笑)」(トキちゃん)
きっと脚本のアイデアを練っているときも、こんなふうなのだろうと思わせるテンポのよい会話が弾みます。いつものつつがない日常が始まるのです。
食パンのトーストが好きなトキちゃんが、「いちばんよく行く店」というのがイスズベーカリー。
「毎日食べるのは、ここのパン。それでも飽きない、白いごはんみたいなパンです」(トキちゃん)
生地作りにおいて、イーストの量をごく少なくすることで小麦粉の生地自体が発酵する力を最大限に引き出し、じゅうぶん熟成させるのがこだわりのポイント。
サクッとした食感の「ハード山食」、しっとりとした食感と爽やかな酸味の「エンペラー」など、食パンだけでも13種類も揃い、味の好みや食べ方に合わせて選べるそう。
木皿家でも、朝食のトーストに外はサクサクで中はもっちりの「北の大地」を、サンドイッチにはパンが主張しすぎず具材との相性がよい「シルバー」を、と使い分けているのだとか。
「共通するのは、小麦自体がおいしいことという気がします。自信を持っているんと違うかな」(トムちゃん)
車いすのトムちゃんはガイドヘルパーさんと散歩に出た時、家で仕事をしているトキちゃんのために、この店でパンを買って帰ったことがあります。
「それでハマったのが、「部長の塩こんぶパン」。歯切れのいいフランスパン生地の中に塩こんぶが入っている、流行りの塩パンの一種ですね。自分では選ばなかったと思うけれど、トムちゃんが買ってきてくれて食べてみたらおいしいな〜と思って」(トキちゃん)
「僕は、ここのカレーパンも好き。「フィッセルガーリック」も何もつけずにそのままいけます」(トムちゃん)
カレーパンは、店でいちばん人気という「スコッチエッグカレー」の他、「牛筋煮込みカレー」など全4種も。
和の食材を取り入れた新作や季節ごとの限定品も次々と。生クリームたっぷりの「極みあんホイップ」など菓子パン類もおいしくて、「ダメだダメだと思いながら、つい買い食いしてしまう」とトキちゃんは白状しました。
◎木皿 泉さん脚本家、作家/共同ペンネームで作品を執筆する、和泉努(いずみ・つとむ)さんと妻鹿年季子(めが・ときこ)さん夫妻。脚本に、向田邦子賞を受賞した『すいか』をはじめ、『セクシーボイスアンドロボ『』Q10』など。初の小説『昨日のカレー、明日のパン』は文庫版が発売に。
『クロワッサン』919号(2016年2月10日号)より
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