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『ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―』東京都庭園美術館──アール・デコの館でルーシー・リーの器を愛でる

青野尚子のアート散歩。今回は、ろくろによる薄さが際立つ繊細なフォルムに、象嵌や掻き落としで生まれた独特のテクスチャーや釉薬の豊かな色合いが響きあう、ルーシー・リーの展覧会。この展覧会では、交流のあった作家たちの作品も紹介する。初期から円熟期まで、ルーシー・リーの軌跡を追うことができる。

文・青野尚子

ルーシー・リー 《青釉鉢》 1980年頃 井内コレクション(国立工芸館寄託) 撮影:品野 塁
ルーシー・リー 《青釉鉢》 1980年頃 井内コレクション(国立工芸館寄託) 撮影:品野 塁

ろくろによる、薄さが際立つ繊細なフォルムに、象嵌や掻き落としで生まれた独特のテクスチャーや釉薬の豊かな色合いが響きあう。ルーシー・リーの器には凛とした趣がある。日本ではおよそ10年ぶりの個展は国内でも質の高いコレクションから選ばれた作品が並ぶもの。アール・デコの館として知られる〈東京都庭園美術館〉の空間にも映える。

ルーシー・リーは1902年、ウィーンに生まれた。ウィーン工芸美術学校でろくろによる陶芸に魅せられ、ろくろの可能性を探求するようになる。1938年、戦争によりロンドンに亡命するが作陶を続けるのが難しくなり、陶製のボタンを制作していたこともあった。その後、1995年に亡くなるまでロンドンを拠点に活動を続けている。

この展覧会ではウィーンで出会った建築家・デザイナーのヨーゼフ・ホフマンや、日本で民藝運動にも関わった陶芸家のバーナード・リーチ、ルーシー・リーと共同制作もしていたハンス・コパーら、交流のあった作家たちの作品も紹介する。初期から円熟期まで、ルーシー・リーの軌跡を追うことができる。

ルーシー・リー 《マンガン釉線文鉢》 1970年頃 井内コレクション(国立工芸館寄託) 撮影:品野 塁
ルーシー・リー 《マンガン釉線文鉢》 1970年頃 井内コレクション(国立工芸館寄託) 撮影:品野 塁

日本では1989年、ルーシー・リーと親交のあった三宅一生の監修で個展が開かれたのがきっかけとなり、広く名を知られることになった。この展覧会は井内コレクションを始めとする国内での収蔵品で構成されるもの。私たちの感性に訴える彼女の器の魅力を改めて知ることができる。

『ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―』

『ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―』東京都庭園美術館──アール・デコの館でルーシー・リーの器を愛でる

東京都庭園美術館 7月4日(土)~9月13日(日)

三宅一生は彼女のボタンを使ったコレクションを発表したこともある。会期中には陶製のボタンを作るワークショップなども開催。詳しくは公式ウェブを参照。

東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9) TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル) 10時~18時(8月の金曜は〜21時)月曜、7月21日休(7月20日は開館) 入館料一般1,400円ほか
  • 青野尚子 さん (あおの・なおこ)

    アート・建築関係のライター

    著書に『超絶技巧の西洋美術史』(池上英洋さんとの共著、新星出版社)など。

『クロワッサン』1168号より

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