なぜ私たちはスヌーピーが好きなのか──アートディレクター・祖父江 慎さん × イラストレーター・坂崎千春さん
撮影・小川朋央 文・嶌 陽子 撮影協力・PEANUTS Cafe サニーサイドキッチン
こんなにも人気なのは、関わる人々の愛があるから
坂崎さん「1コマ1コマがイラストとして成立しているのがすごいです」
祖父江 あんまり表立って言わないけど、スヌーピーのファンの大人ってけっこういますよね。
坂崎 祖父江さんや私のように、子ども時代に「勉強になるから」といって親に漫画を買ってもらっていた人たちもかなりいるんじゃないかと。そして、世界観やストーリーが大人にも響くんですよね。
祖父江 闘いもないし、善悪をはっきり分けることもしないものね。
坂崎 スヌーピーはモノクロで、全体的にも絵がファンシーでないので、大人もグッズを持ちやすいですし。もうひとつ、日本でこれだけスヌーピーが愛されているのは、祖父江さんのおかげも大いにあると思うんです。本や展覧会、スヌーピーミュージアムのアートディレクションを通じて、子どもっぽくない、素敵な世界を作ってくださったから大人も好きでいられるのでは。
祖父江 いやいやいや〜(笑)。でも真面目な話、ミュージアムで企画展を開催するたびに、本家であるアメリカのシュルツ美術館のスタッフとは毎回丁寧に話し合いながら企画を進めていくし、毎回来日してて、一緒に作ってるんです。みんな『ピーナッツ』にすごく愛情を持っているんだよね。翻訳の谷川俊太郎さん然り、関わっている人たちがしっかり作品に向き合い続けてきたから、人気もこれだけしっかりと続いているんじゃないかな。
坂崎 作者が作品を育てていくのと同時に、周りに愛されて育っていくという面もありますよね。
祖父江 日本ではスヌーピーが突出して有名だけど、チャーリー・ブラウンをはじめ“ピーナッツ・ギャング”と呼ばれる子たちも、それぞれにみんないい味を出してる。これからはもっともっと丁寧に一人ひとりを見ていきたいですね。
撮影したのは…
PEANUTS Cafe SUNNY SIDE KITCHEN
『ピーナッツ』の世界に囲まれた時間を過ごせるカフェ。「一日をしあわせにする、すこやかな食」をテーマに、トーストやパンケーキなど食事系のメニューも充実。年代別のコミックが楽しめる5つのコンセプトルーム(個室)も利用価値大。
『クロワッサン』1141号より
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