元気なうちに少しずつ、親と始める終活ガイド「財産編」
イラストレーション・井上沙紀 文・中嶋茉莉花
預貯金や現金以外もすべて見える化できるとベスト
不動産や株など高額に値し、残してもらえるとありがたい財産もあれば、ローン返済の残った品や未払いの税金、クレジットカードの分割請求など、子の生活を脅かす、“マイナス財産”も存在する。
「死後、知らなかった財産が見つかると、分配が難しかったり、すぐに換金不可などのトラブルになりがちです。中でも次の4つは早いうちに詳細を把握しておいて損はありません」
プラス財産
家族に「遺産」として残る不動産や株などの証券、評価対象となる美術品など。本人しか把握が難しい財産には特に注意を。
◻︎親の不動産とその名義を確認する
「(1)子が知らない土地が出てくる、(2)親の実家の土地が親と親戚との共有名義だった、(3)祖父母の代で名義が止まっている不動産があった——そんな場合は、相続に時間がかかる、売却できないなど、親の死後、トラブルになりやすいので名義まで把握を」
聞き方:うちが持ってる不動産って、家だけだよね?
◻︎ネットバンクを利用しているかを聞く
ネットバンクは通帳やカードがなく、家族も把握できないことがある。
「親の死後、銀行からの通知で存在を知ると、預貯金の引き出しが面倒な場合も。自分の失敗を引き合いに出しながら利用の有無、口座情報まで聞き出したい」
聞き方:最近、ネットバンクのパスワードを忘れて苦労したよ。
◻︎投資しているかを知っておく
ペーパーレス化で証券が自宅に見当たらない可能性もふまえ、保有株の洗い出しを。
「株は見落とされやすく、相続手続きも特殊。故人の持ち株を5年以上放置すると、権利を買い取られることも。利用する証券会社も聞けるとベスト」
聞き方:株をやりたいと思って。やったことある?
ほかにもチェック!
・美術品、骨董品、貴金属
・慰謝料請求権などの債権
・ゴルフ・リゾート会員権
・マイレージカード
マイナス財産
住宅リフォーム代、電化製品購入費用などをローンで賄っていたことが発覚するケースが多発。生前から「おや?」と思うたび確認を。
◻︎ローン残債がないかを確認する
「医療用寝具代、バリアフリー住宅へのリフォーム代、手術・入院費などをローンや分割払いにし、その支払いが残っていることがある」と奥山さん。子が残債を担うことになり得る。
「多額の場合、相続放棄も考えられるので生前にローンの有無を知ることが先決」
危機高:新しくしたお風呂高かったんじゃない?
ほかにもチェック!
・借金
・クレジットカードの未払金
・未納の税金
・連帯保証人の保証債務
『クロワッサン』1134号より
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