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タレント・新田恵利さんの「自分をすり減らさないはじめての介護」

誰もがいずれは直面する“親の介護”について、介護と向き合った先達の言葉に学びがあります。今回はタレント・新田恵利さんのエピソードを紹介します。

撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・大宅理絵 文・小沢緑子

新田恵利(にった・えり)さん タレント。元おニャン子クラブのメンバー。実母の介護体験を元に講演会開催、2023年に淑徳大学総合福祉学部客員教授にも就任。著書に『悔いなし介護』(主婦の友社)。
新田恵利(にった・えり)さん タレント。元おニャン子クラブのメンバー。実母の介護体験を元に講演会開催、2023年に淑徳大学総合福祉学部客員教授にも就任。著書に『悔いなし介護』(主婦の友社)。

母親の介護を2014年から6年半、“悔いなし介護”をやり切ったという新田恵利さん。結婚と同時に2世帯住宅で同居していたが、入院が引き金となり母親が歩けない要介護4に。

「介護=母の死が近づいていると感じてしまい、最初はパニックでした」

家族や兄弟と、最初に役割を決めるのが大事

新田さんの場合、今後を見据えて独身の兄が引っ越してきて一緒に介護をすることになったが、

「兄弟姉妹がいたら、親の介護をどう役割分担するか早めに話し合っておくことをおすすめします。いざ始まると時間も余裕もなくなるので、『在宅なら誰がメインに看るか』『遠方で看られないなら介護費は負担』『施設ならどこで探すか』など決めておくほうがいいです」

母親と一緒に。独身時代から毎日電話をするほど仲が良かった。
母親と一緒に。独身時代から毎日電話をするほど仲が良かった。

介護が始まった当初はアクセル全開で母親中心の生活を送っていたが、「そのせいか『どうしてこんなことができないの』『これだけ言っても何でわかってくれないの』と次第に母を責めるような気持ちに。あるとき口ゲンカをしたら、母がベッドの上で歯を食いしばって涙をポロポロ流しながら、寝返りも打てない体なのに首をそむけようとしたのを見てハッと気づいた。『母はこの場から逃げられない。追い詰めちゃいけない』と。同時に母の老いをスッと受け入れることができて気持ちがとてもラクになりました」。

以来、ケンカになりそうなときは、その場をいったん離れることに。

「声が届かない場所で悪態をついて発散させてスッキリ(笑)。その間に母も反省するようで、またふたりで何事もなかったように『ママ、のどが乾かない?』『じゃあ温かいお茶をちょうだい』なんて普通に戻れるんです」

母親が亡くなる3カ月前に書いていた日記。今はいい思い出に。
母親が亡くなる3カ月前に書いていた日記。今はいい思い出に。

また、心強かったのが夫の存在。

「母のグチを言うと最初は助言しようとするので、『今、私はアドバイスを求めていません。ただ黙って聞いてください』と伝えたらそうしてくれて」と新田さんが言うと、夫の雅之さん(冒頭の写真右)は「ただ受け止めることが正解だと教えてもらえたのは、逆に僕にとってもよかったです(笑)」。

そんな体験を通して、新田さんは介護のグチや悩みをひとりで抱え込まず、周りにオープンに、と言う。

「人間誰しもグチを言ったり助けを求めたくなる。私が初めて母の介護について書いたのはブログでしたが、『私も介護中で苦しかったけれど、読んで元気が出た』などと思わぬ反響があり、公表=言いふらすことは誰かの役に立つことを実感しました。共感し合える介護仲間も増えましたし、“言いふらし介護”をおすすめしています」

新田さんが考案した新しい形のエンディングノート「Kako Kako ノート」。親子のコミュニケーションも深められる。
新田さんが考案した新しい形のエンディングノート「Kako Kako ノート」。親子のコミュニケーションも深められる。

『クロワッサン』1134号より

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