フリーアナウンサー・駒村多恵さんの「自分をすり減らさないはじめての介護」
撮影・小川朋央 文・小沢緑子
持続可能な介護を心がけています
「今日のこのセーターに合わせたパンツとイヤリングは母のもの。母は衣装持ちで自分の服と組み合わせながら楽しんでいるんです」と駒村多恵さん。
母親とは昔から大の仲良し。2007年から進行性の病気で介護が必要となった母親と暮らしていて、「在宅での介護は母の希望で、私もできるだけ伴走しようと始めました。平日仕事に出かけている間はデイサービスと訪問介護を頼んでいます。介護は突発的なことも起こるのでケアマネジャーさんやヘルパーさんの力を借りながら、最善策がとれるように今もトライ&エラーを繰り返している最中です」。
そんな仕事と介護の忙しさの合間を縫い、2011年には国家資格の介護福祉士を取得した。
「当時は介護の知識がまったくなくて、必要な情報を一番効率よく得る最短ルートが介護の資格を取ることだと思ったんです」
さらにこれは仕事柄かもしれないけれど、と前置きをしつつ、「私の場合、何かわからないことや困ったことがあると『解決策がないかな』と調べて探したりするのが苦にならない。さらに自分が得た情報をほかに必要としている人にシェアしたい気持ちがあり、仕事との調整は綱渡り状態で当時はヨレヨレでしたが(笑)、勉強を続けられました。実技研修も今、とても役立っています」。
さらに12年から朝の番組『あさイチ』で料理コーナーを担当することになったのをきっかけに、料理だけでなく、介護食にもこだわってメニュー作りの工夫を続けている。
「生放送で料理の進行をスムーズにするために前日に自宅でレシピを予習して、作った料理を母と試食していたんです。ただこの頃から母の噛んだり飲み込む力が落ちてきて『おいしいけれど食べにくい』と言われたことから、『どうしたら楽しめるのかな』といろいろ調べて介護食の資格もとりました。以来、番組で紹介するレシピを自宅で作るときに、母に合わせた介護食にアレンジしています」
そのレパートリーはすでに100種類を超えている。
仕事も介護もチームプレーだと思います
仕事と介護を両立させる秘訣とは?
「日々“持続可能な介護”を心がけるようにしています。私は仕事も介護もチームプレーだと思っているので、まずは『自分ひとりで何もかもやろうと頑張りすぎない』ことだと思います」
趣味をもつことも大事という。
「私はタップダンスが趣味で、月2回くらいは通っています。好きなことを楽しんで気分転換する時間をもつことも必要だと思いますよ」
『クロワッサン』1134号より
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