話し方、聞き方に運気が表れる!おしゃべりで人生は好転する。
撮影・青木和義 イラストレーション・悟東あすか 文・小沢緑子 構成・堀越和幸幸
おしゃべりとは、場の共有である。
〝雑談〟をテーマに語り合うポッドキャスト番組が人気のジェーン・スーさんと桜林直子さん、そして人々に神仏のメッセージをわかりやすく伝える橋渡し役を務めている真言宗尼僧の悟東あすかさん。それぞれに立場が違う3人に、まずは人とのいい縁を紡いで開運する〝楽しいおしゃべり〟について聞きました。
ジェーン・スーさん(以下、スー) 私とサクちゃん(桜林直子さんの通称)はモノの見方も考え方も正反対だから、ポッドキャスト番組『となりの雑談』(TBSラジオ)で話していると毎回「え? それってどういうこと?」と思うんだけれど、それがすごく面白い。
桜林直子さん(以下、サク) ふたりで話せば話すほど、お互いに違いがわかってきてね。それをまた言葉に換えて伝え合うのが楽しいよね。
悟東あすかさん(以下、悟東) おふたりは“話のキャッチボール”がしっかりできているんですよ。「いいおしゃべりができたな」と思うのは、お腹の底から言いたいことを言えて、しかもそれを相手がパーンと小気味いい音を立てて受け取ってくれたとき。その条件がたぶん揃っているんですね。
スー サクちゃんみたいな友人と話していて、「ああ、楽しかった!」と思うのは自分も相手も「ちゃんと話を聞けた」ときですね。あとは「くだらない話も延々とできて大笑いした」ときかな(笑)。
サク 私は誰かとしゃべっているときに相手から「自分の中で何かが整理できてきた気がする……」と言われるとすごくうれしくなります。すると私からもどんどん言葉が出てきて、相乗効果で会話が豊かに膨らんでいくことがあります。その場の流れや組み合わせでしか体験できないと感じたときに「いい瞬間に立ち会えたな」という気持ちになりますね。
悟東 おしゃべりも一期一会なんです。私は“おしゃべりは場の共有”と思っていて、私たち人間はただその場にいるだけでも影響し合っていますし、さらに言葉を交わせばその場でしか生まれない時間も共有できます。といっても何も眉間にシワを寄せて大真面目な話をするのがいいわけではなくて、ただ他愛もない話をして笑い合っているだけでも充分なんですよ。
おしゃべりで開運するか?
サク おしゃべりは場の共有、という言葉で思い出しましたが、昔は私は何でもあとから事後報告するタイプだったんです。でも、13年前にクッキー屋さんを起業するときに自分らしくないかなと思いつつも頑張って、周りに「いつまでにこういうお店を出す!」と宣言をした。そうしたら知人が旅先で思い出して「お店出すって言っていたよね」とクッキー型をお土産に買ってきてくれたことがありました。
悟東 素敵な出来事ですね。運が拓けるときには、人との縁やつながりは欠かせませんから。
サク すごくうれしかったです。自分自身に発破をかけるつもりで宣言したんですが、それを周りの人が覚えていてくれた。「口に出して言うと、あとからこんなサプライズが待っているんだ!」って思いました。
スー その人が生まれもつ“エネルギー値(生命力)”というものがあると思いますが、サクちゃんのように心が繊細でエネルギー値が低い人は「思ったことは現在進行系で口に出す」ほうが運も縁も拓けると思う。逆に私みたいに体力も馬力もあるエネルギー値が高いタイプは、出力数が過剰にならないよう注意したほうがいいけれど。
サク スーさんはいつも思ったことはガンガン口に出しているものね。
悟東 自分の思っていることや言いたいことは、ためずに話すことはとても大切。運を拓くためにも大事なことなんですよ。
スー 昔は私も「こんなこと言っていいのかな」と思うこともありましたけれど、40歳過ぎたあたりから、自分の意思が言葉より強いことを自覚したので、思ったことや言いたいことを言わずにためてしまうことはないですね。それに私は人からイヤなことを言われてもポンッ!ってすぐに揮発して忘れてしまうから、人の言葉に引っ張られて自分のエネルギー値が目減りすることもないです。
サク スーさんは自分を優先できる人だから、たとえ他人に悪意を向けられても気にしないし、それを跳ね返せるだけの力があるよね。
スー 私の場合、悪意をキャッチすること自体もできないタイプだから、スルーできるんだろうね。もし気づいたとしても、「あれ? 今、嫌味言われていた?」みたいに少しも響かないし、「鈍感だなあ」と思われているときもあると思いますよ。
サク 以前の私がそうだったけれど、エネルギー値が低い人は自分より自分以外の誰かを優先させてしまう傾向があるから、他人のことにエネルギーを使い、疲弊して「自分はダメなんだ」と、自ら開運とは反対の方向にどんどんはまっていってしまうんです。
悟東 そういう人は“自分にとっての開運”、すなわち「自分は何を幸せと思うのか?」を心の中で掘り下げてみて、自分なりの幸せのイメージを大切にすることが必要だと思いますよ。
スー 運って、“自分の心との向き合い方”だと思いますよ。よく開運法に玄関を掃除したり花を飾ったり、風通しをよくするといいとかありますが、あれも全然不思議なことじゃない。毎日自分が生活している場を気持ちよく整えていれば、自分をもっと大切にしようという自尊感情も高まってくるから、結果的にその人はいい方向に変われるし、運もツイてくるんだと思っています。
サク おしゃべりも一緒だよね。心を閉ざして話していたら人も運も近寄ってこないけれど、それに気づいて自分から心を開いて話すようにすれば、周りも「何だかあの人いい方向に変わってきたな」と察知するから、人との関係もいい具合に回りだすよね。
悟東 その意味でも何か思うことがあればひとりで悶々としないで、誰かとしゃべることが“自分の心の中を解放して軽くできる方法”だと知ってほしいと思います。しゃべる内容は月並みなことでいいですし、「このお菓子、最後の1個を買えちゃった! ラッキーでしょ」みたいなことでもいい。どんな小さなことでも自分がうれしかったこと、ツイていたなと思うことを見つけて口に出していると、気持ちに弾みもついてきますから。
スー 運が悪いと思ったら「今日はたまたま日が悪い」と“日のせい”みたいに考えればいいと思いますよ。私は毎回「運の悪い日の順番がまた回ってきた。私は火曜日担当か(笑)」くらいに思って流しています。
広告