防災マニアの室井滋さんに聞く、日頃の備え。
撮影・青木和義 文・一澤ひらり 構成・中條裕子
“防災用品はしまってちゃダメ! いざというときに使えないわよ。”
なんと! 東日本大震災が起きる5分前に突然「きゃーっ、地震!」と叫んで周囲を驚かせたという室井滋さん。
「まだ地震の予兆も何もなくて『揺れてませんよ。めまいですか?』って言われちゃって。そしたら5分後に本当に地震が起きたんですよね」
無意識レベルで「人間地震計」のようになっていたのかも、というくらい室井さんは地震に敏感で、知識も深い。
「地球科学の第一人者で、地震や火山噴火を研究する京大名誉教授の鎌田浩毅先生と対談をさせていただく機会が何度かありまして、先生は『約100年周期で起きる南海トラフ巨大地震は2030年代に必ず起こる』と断言されていました。しかもそれに連動して数カ月以降に富士山が大噴火すると。
今年の元日は故郷の富山に帰っていましたが、能登地震が起きてしまって……。これまで自分なりに地震や火山噴火のことを学んできただけに、身に迫った危機があることを切実に感じています」
ふだんから使っているものこそ、非常時の大きな助けになる。
東日本大震災以降、防災用品をかなり集めてきたという室井さんだが、ずっとしまいっぱなしだったそう。
「一度も使ったことがないのに、発災時のパニック状態で扱えるとは到底思えない。日々使っていれば、いざというときも迷わず使えるはずだから、普段使いが大切だと考えを改めて、日常防災にシフトしたんですよね」
なかでも重宝しているのが、タッチすれば点灯する乾電池式ランタンとソーラー充電式の携帯型ランタン。
「タッチセンサーのランタンはポンポンと上部を叩くだけで点くので、操作が簡単。寝室の読書灯にしていますが、停電時にも使える心強い相棒です。ソーラーランタンは窓辺に置いておけば太陽光で充電できて、軽量で折りたためるので使い勝手抜群。デザインも素敵で友人へのプレゼントにしています」
ライフラインが止まったときに最も必要とされるのが水だが、室井さんは飲料水だけでなく、生活用水もストック。
「被災したときに飲料水を生活用水にするのはもったいないから、2Lのペットボトルに水道水を入れて20本ほど置いてあります。古いものから手洗いや家庭菜園の水やりなどにして、使ったら補充してローテーションさせています」
さらに身近にあるものが非常時にどう使えるのか、吟味するようにも。
「防災って自分にとって何が必要なのかを見極めるいい機会で、己を知ることにもつながるんですよね。大地震や火山噴火がいつ起きてもおかしくないからこそ、災害にちゃんと備えて、明るく生きていきたいですね」
室井さんが備えている食料や停電対策アイテム。
「国産の乾燥野菜や宇宙食、25年保存可能なサバイバルフーズの缶詰など、試してみたくて見かけると買っちゃいます」
「停電が続いたときのために、ジャクリのポータブル電源とソーラーパネルをセットで購入しました。これ必須!」
「給水用タンクはいくつか用意。ほかに災害非常時、断水時のための携帯トイレやレインコート、念のため酸素ボンベも」
『クロワッサン』1124号より
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