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オレンジの光、昼寝に横寝、リラックス方法…誰でもできる快眠に導くヒント。

快眠のヒントを、睡眠に特化したクリニックの医師、渋井佳代さんに聞きました。

撮影・小川朋央 イラストレーション・佐々木一澄 文・長谷川未緒

夕食後は、オレンジ色の光でゆったり過ごそう。

リビングや寝室に青白い色の照明を使っている人は、いますぐ夕陽のような暖色系に変えよう。

「明るく、青みがかった白い照明は、交感神経を刺激して意識を覚醒させます。昼間、活動的に働く職場などにはいいのですが、自宅の照明には昔の電球のような暗めのオレンジ色がおすすめです。暖色系はリラックスできますし、明るいよりも暗いほうが、睡眠に必要なホルモン、メラトニンが分泌されることが知られています」

最近は色や明るさを変えられるLEDライトもあるし、直接照明ではなく間接照明にしたり、キャンドルライトにしたりするのもいい。就寝の1時間前は特に意識して、照明効果で質の良い睡眠を得よう。

オレンジの光、昼寝に横寝、リラックス方法…誰でもできる快眠に導くヒント。

いびき、腰痛予防には横寝がおすすめ。

「いびきは何らかの理由で上気道が狭くなると、呼吸するたびに空気抵抗が起こり、粘膜が振動することで音が出る現象です。肥満なども上気道を狭くしますが、仰向け寝で筋肉が緩み、舌が気道を塞ぐことでも起こるので、横向きの姿勢をおすすめします。開口しにくく、舌根が気道に落ちるのを防ぎ、いびきをかきづらくなります」

うつぶせ寝もいびきを軽減するが、腰に負担がかかるため、おすすめできない。入眠困難や中途覚醒の一因として腰痛などの痛みもあるためだ。
横向きで軽く膝を曲げ、背中を丸めるようにすると、腰痛対策にもなっていいだろう。横向きに寝づらかったり、五十肩で横向きに寝ると痛みが出る場合などは、抱き枕を使うとラク。

オレンジの光、昼寝に横寝、リラックス方法…誰でもできる快眠に導くヒント。
エスカルゴピロー(77×42cm)2万6400円(ロフテー TEL.0120・824・855)
エスカルゴピロー(77×42cm)2万6400円(ロフテー TEL.0120・824・855)

「耳スポット」と呼ばれるくぼみに耳がすっと収まる、横向き寝専用枕。頭と首を快適に支える。

ボディピロー LBP-330(Mサイズ 47×107cm)3万4100円(ロフテー)
ボディピロー LBP-330(Mサイズ 47×107cm)3万4100円(ロフテー)

体の曲線に沿って体重を支えるS字の抱き枕。肩と腰の体圧を分散して、姿勢を安定させる。

寝返りを打ちやすいパジャマや寝具を。

健康な成人でひと晩に20回程度という寝返り。睡眠中にずっと同じ姿勢のままでは血流が悪くなり、首や肩のこりの一因になるため、適度に寝返りを打てるのが理想。夏は寝返りを打つことで、布団内の温度や湿度の調整にも。

「体の自然なS字をキープしてくれる、少し硬めのマットレスがいいでしょう。お尻が沈むやわらかい低反発などのマットレスは、寝返りしづらいと思います。掛け具はタオルケットより夏用の羽毛が密着しないのでおすすめ。パジャマはジャージ素材などより、吸湿性と通気性がよく、肌に張り付かないコットンやリネンなどを選んでください」

ワコール 睡眠科学 寝返りしやすい立体設計パジャマ1万4300円(ワコールお客様センター TEL.0120・307・056)
ワコール 睡眠科学 寝返りしやすい立体設計パジャマ1万4300円(ワコールお客様センター TEL.0120・307・056)

独自の切り替えパターンで、寝返りのしやすさを追求。ウエストゴム2本仕様で、お腹周りもラク。

昼寝は20分まで。休日の寝坊は1時間まで。

オレンジの光、昼寝に横寝、リラックス方法…誰でもできる快眠に導くヒント。

睡眠不足を補うためには昼寝も有効だ。パワーナップ(積極的仮眠)という言葉もあるように、正しい昼寝で、脳や体の疲労を回復しよう。

「20分程度の昼寝は、頭をすっきりさせてくれます。それ以上長くなると睡眠が深くなり、かえってぼーっとしてしまうのでご注意を。昼寝をする前にコーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物を飲むと、すっきり起きられるはず。また夕方の仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼすので避けましょう」

休日に寝だめをしている人もいるかもしれないが、睡眠リズムを整えるためには、起床時間を一定にすることが大切だ。睡眠時間を長く取りたいなら早寝をすること。寝坊するとしても1時間までにとどめよう。

夜は目を休ませて香りや音楽でリラックス。

ベッドに入ってから、動画配信サービス等でドラマを見ることが日課という人も少なくないのでは?

「おもしろくて夢中になるのもわかるのですが、睡眠という観点からはよくありません。興奮して、交感神経にスイッチが入ってしまうからです。読書をするほうが動画視聴よりは刺激が少ないですが、眼精疲労は自律神経に影響しますので就寝前は目を休ませてあげましょう」

とはいえ何の音もなく、することもないと、雑念が湧いてくるもの。

「ならば川のせせらぎや波の音、シンギングボウルといった心が落ち着く音を聴いたり、アロマオイルをたいたりといったリラックスできることを取り入れるのも一案です」

左から、ムーンリット カモミール ピローミスト 50ml 7,150円、ラベンダー&ムーンフラワー セント サラウンド(TM)ディフューザー 165㎖ 1万5840円(共にジョーマローン ロンドン お客様相談室 TEL.0570・003・770) SLEEP STEP アロマティックシール スイートドリーム 18枚入 1,100円(銀座ロフト TEL.03・3562・6210)
左から、ムーンリット カモミール ピローミスト 50ml 7,150円、ラベンダー&ムーンフラワー セント サラウンド(TM)ディフューザー 165㎖ 1万5840円(共にジョーマローン ロンドン お客様相談室 TEL.0570・003・770) SLEEP STEP アロマティックシール スイートドリーム 18枚入 1,100円(銀座ロフト TEL.03・3562・6210)

安らぐカモミールの香りのピローミスト(左)と、ラベンダーがやわらかく香るディフューザー(中)、パジャマや枕に貼るアロマシール(右)。

日中楽しく過ごすことが睡眠問題を解決。

寝る直前の各種工夫も必要だが、結局は起きる楽しみと昼間の充実した時間が大切、と渋井さん。

「長く寝たからといって、元気になれるとも限らないんですよ。昨日買ったアボカドをトーストにのせてみようとか、あそこのパン屋さんに行ってみようとか、犬の散歩に公園まで行こうとか。起きる楽しみを見つけていきましょう。特に女性の場合は、夫や子どもの世話、介護などがあって『自分のため』が欠けています。仕事をしていれば、なおさら。やらなければいけないことを減らし、自分の好きなことをする時間を作りましょう。運動も運動以外もよし、一人でやるもみんなでやるもよし、ですよ」

オレンジの光、昼寝に横寝、リラックス方法…誰でもできる快眠に導くヒント。
美大出身の講師のナビゲートで、著名な画家の絵画を模写するアート体験ができるが『artwine.tokyo』。作品にペアリングしたワインの提供も。詳細はウェブサイトにて<a href="https://artwine.tokyo">https://artwine.tokyo</a>
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渋井さんの昼間の充実感と起きる楽しみ。

「私自身50代で、これまでも起きる楽しみを見つけるべくいろいろと試してきましたが、今ハマっているのが『artwine.tokyo』です。3時間ほどで、ゴッホやモネ、ルノワールなどの名画を模写します。やり方は先生がやさしく教えてくれ、上手い下手はなく、失敗のない体験です。真剣に描くためけっこう疲れて、夜はぐっすり眠れますよ」

  • 渋井佳代

    渋井佳代 さん (しぶい・かよ)

    スリープクリニック銀座 院長

    睡眠障害、不眠、過眠、無呼吸症候群など睡眠にまつわる治療を行う。睡眠を可視化しデータ分析、患者の心に寄り添ったサポートが評判。

『クロワッサン』1118号より

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