50代以降は照明を見直そう。プロに聞く、スペース別上手な明かりの取り入れ方。
照明こそ、住まいを見直すうえでの必須アイテムです。
撮影・黒川ひろみ 文・嶌 陽子
明かりは暮らしの質を左右する大事な要素。特に50代以降の心身やライフスタイルの変化に伴い、照明を見直すのは有効、と新築やリノベーションのデザインを手がける石川敬子さんは語る。
「年齢とともに手元が見えづらくなってくるほか、夫婦で好みの明るさが違ってくる、家にいる時間が長くなり、よりくつろいだ雰囲気の明かりにしたくなるといった変化が起きるのもこの年代。照明の選び方や配置の仕方でこうした問題が解決できます」
今回は大がかりな工事を必要とせず、自分でできる照明の工夫を教えてもらった。ポイントは、心地よさと利便性の両方を満たすことだ。
「必要な場所に必要な光を持ってきつつ、明かりでリラックスできる空間を作る。照明で暮らしの質は確実に変わるので、ぜひトライしてみてください」
ペンダントライト× ダクトレール×調光電球で実用性もインテリア性も。
空間のアクセントになるペンダントライトだが、それだけだと暗くて見づらい場合があるのが難点。「おすすめは、好きな位置に好きな数だけ照明器具を取り付けられるダクトレールを使ってスポットライトを足し、さらに調光式の電球を使うこと。シーンに応じて明るさを調整できます」(石川さん)
左・オフ時間は暗めに。
右・活動時には明るく。
オープンキッチンにもダクトレールはおすすめ。
調理をするキッチンカウンターはしっかり照らしたい場所。とはいえ、リビングやダイニングとつながっているオープンキッチンの場合、スポットライトだけではインテリア性に欠ける。そこでダクトレールを採用、ペンダントライトと組み合わせれば見た目のよさもかなえられる。
電球を変えるだけで、明るさや色も細やかに変えられる。
明るさのほか、温かみのある電球色から青白く明るい昼光色まで、シーンごとに調整できる。スマホアプリやリモコンで操作可能。
自分で簡単に取り付けられるダクトレールは、天井工事不要。
ダクトレールは埋め込み式のものがある一方、天井にある引っ掛けシーリング(照明器具を取り付ける土台)に取り付けられるものも。工具なども不要、簡単に設置できる。
ペンダントライトの位置はサポート器具で自由に調整。
引っ掛けシーリングの位置が照明器具を吊るしたい場所と違う場合も。そんな時は専用の器具を使えば好きな位置に調整可能。
自分だけのスペースを作り、手元を照らすフロアライト。
「電源さえあればどこにでも置けるフロアライトは、手軽に取り入れられる照明の一つです」。限られたエリアだけ照らすため、手元が明るくなるほか、椅子と組み合わせれば自分だけの心地よいスペースを作れる。
一人掛けの椅子とともにパーソナルスペースを。
夫婦での暮らしも長くなってくると、ソファに2人で並んで座るより、それぞれ一人掛けの椅子でゆったりと過ごしたくなるもの。フロアライトと組み合わせれば、リビングなどの同じ空間にいながら、それぞれのパーソナルスペースを確保できる。もちろん、読書灯としても大活躍。
暮らしやすさのために、クローゼットにも明かりを。
取り付け工事をせずとも簡易的につける方法も。
「クローゼットの中を照明で明るくすると服が格段に見やすく、選びやすくなります」。取り付け工事をする手もあるが、近くに電源があれば床に照明を置いたり、〈イケア〉などで手に入るLEDテープライトを棚などに貼り付けるといった簡易的な方法もある。
光が足りない時に役立つポータブルライト。
もう少し明るさがほしいという時に、一つあると便利。
持ち運べる明かりは寝る前に枕元に置けば夜中にトイレに行く時に便利。「人感センサー付きのランプは点灯してほしくない時も反応してしまい、結局不便。必要な時に自分で照らすのがおすすめです」。ダイニングで書き物をする際に光が足りない場合やベランダで夕食をとりたい場合など、家じゅうどこでも活躍してくれる。
コーナーを照らす ライトは、部屋が 広く見える魔法。
吊るしたり、置いたり。明かりを部屋の隅に配置。
住まいをよりくつろげる空間にするために、間接照明も積極的に取り入れたい。部屋のコーナーを照らすと暗くなりがちな部分が明るくなり、空間に奥行きが出て、部屋が広く見える効果がある。ペンダントライトでもフロアランプでもOK。
締め切った空間を開放的に。太陽のように光が変わる自然光ライト。
日当たりが悪いという悩みを天窓のような照明で解決。
玄関や洗面所など窓がなく日が当たらない空間にも自然光を。そんな面白い発想の商品がこちら。太陽光と同じ波長のLED照明を天井に設置、時間帯ごとに明るさも変わり、太陽光が実際に差し込んでいるかのように感じられる。
必要な場所を省スペースで照らせるウォールライト。
ほかのタイプの照明とはまた違った存在感があり、インテリア性の高い壁付けのライト。「置くタイプに比べると省スペースなのも魅力です」。寝室につけたり、壁を照らす間接照明にしたりとマルチに活躍。
コンセント式のライトなら壁工事いらずで、取り付けられる。
コンセント式のウォールライトなら、ネジで壁に固定するだけ。配線工事不要で気軽に取り入れられる。
小さく優しい光だから寝室につければ眠りを妨げない。
ベッドのヘッドボードや頭側の壁にウォールライトをつければ、寝室全体を照らさなくてすむため、空間が夜モードになる。「夫婦で同じベッドに寝ている場合も、それぞれの側に一つずつ取り付ければ、就寝や起床時間が違っても自分のスペースだけ照らせます」
『クロワッサン』1112号より
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