つまみアイデアを収穫、ツレヅレハナコさんの八戸への旅。
今回は愛してやまない八戸へ夏のレシピのヒントを求めて飛び立った。
撮影・福田喜一 文・ツレヅレハナコ(本文) 構成・松岡真子
(楽しみ方 1)館鼻岸壁朝市で素材の豊かさに触れる。
東北有数の港町・青森県八戸市。八戸港の館鼻岸壁(たてはながんぺき)は、3~12月の毎週日曜日になると国内最大規模の朝市「館鼻岸壁朝市」の会場となる。
当日の様子は圧巻だ。普段は何もないガランとした岸壁に、夜明け前から店舗が集まりテントの設営を始める。明るくなる頃には開店の準備がととのい、全長800m、約300店舗が軒を連ねる巨大朝市となって数万人もの来場者を迎えるのだ。
各店頭には、港町らしい魚の干物や貝類などの海産物をはじめ、新鮮な野菜、自家製の保存食やパンなどがずらり。本格的なドリップコーヒーを出す店もあるので、まずはコーヒー片手にぶらぶらするのもいいだろう。
吐く息が白くなるような寒い季節にうれしいのは、大鍋で供される汁もの。せんべい汁、豚汁、カニ汁……、中には濃厚なブイヤベースを出すお店も。熱々のスープが早朝の冷えた身体に染みわたり、東北の朝市に来たなあとしみじみしてしまう。
店のお母さんたちとのおしゃべりも醍醐味のひとつ。見たことのない地元食材や、手作りウニ飯などを前に、使い方やレシピを聞く。ハードな南部弁だと聞き取れないこともあるけれど、それもまた楽しいのだ。朝8時頃には閉店する店も多いので、6時台に会場へたどり着くのがベスト。
館鼻岸壁朝市
近隣で獲れた生鮮品やできたての惣菜、骨董品や衣類までを扱う。3月中旬から12月の毎週日曜日に開催。早朝のほうが賑わうのも特徴だ。
(楽しみ方 2)銘酒が生まれる現場を訪ねる。
また、酒どころの八戸に来たなら立ち寄りたいのは、「陸奥八仙」などの銘柄で知られる酒蔵「八戸酒造」。文化庁登録有形文化財に指定されている煉瓦造りの建物内の一部見学や、酒造りの工程説明を受けられる。見学のシメには、もちろん試飲! 気に入ったものがあれば、併設の売店で購入を。
八戸酒造
創業は1755年。漁師町の宴で愛されてきた「陸奥男山」を筆頭に、フルーティーで華やかなアロマとフレッシュな味わいが特徴の「陸奥八仙」など銘酒揃い。10時〜16時の間で貯蔵蔵や建造物の見学も実施する。
(楽しみ方 3)八戸らしさが際立つ一品に舌鼓。
夕食のお店も吟味したいところ。昔ながらの居酒屋で地元の人にまじって地酒を一杯もいいし、ワインが飲めるおしゃれな店も続々とできているので見逃せない。最近のお気に入りは、東北で唯一のポルトガル料理店「Bar Saude(バール サウーヂ)」。現地で生活していたシェフが地元に戻り開いた店で、「ポルトガルと青森は同じ緯度。食材や料理も共通点があります」という言葉に納得。新鮮な魚介がふんだんに使われた料理をつまみながら、キリッと冷えた白ワイン片手に港町での旅情を楽しもう。
おかげさん
\日本酒との相性抜群。/
肝をたれにグリルしたイカゴロ鉄板焼き(1,450円)、ピリッとくる辛さが美味の青なんばんソースピザ(1,200円)、長芋をのせたトロトロとうふステーキ(900円)など。ひねりの利いた一皿に夢中。
Bar saude
\八戸の海の恵みを凝縮。/
リスボンで暮らしていたシェフが腕を振るう。郷土料理・カタプラーナには地元の海鮮がどっさり。タコのマリネなど生魚を食すメニューもあり、八戸流ポルトガル料理を提供。
(楽しみ方 4)渓流が育む緑に包まれて滞在。
八戸まで来たなら足を延ばしたいのが奥入瀬渓流。森の中に一歩足を踏み入れれば、約14kmにわたって続く木々と苔むした岩、美しい清流沿いを散策できる。思わず深呼吸したくなる澄んだ空気は、ここだけのごちそうだ。
この渓流のほとりに立つのが「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」。ロビーやテラス、客室からは季節ごとに姿を変える渓流が望め、川のせせらぎや鳥のさえずりを聞いているだけでリラックス。八甲田山から湧き出る露天の天然温泉にゆっくりと浸かれば、体の奥までときほぐされるはず。
客室のおすすめは「渓流スイートルーム」。ゆったりとした室内には本物の苔を用いた壁画や、渓流をイメージした天然木のダイニングテーブルを配置。浴室の大きな窓には絶景の渓流が拡がり、何時間でも浸かっていたくなる。
また、ホテル内のフレンチレストラン「ソノール」の夕食は、季節が変わるたびに訪れたくなるほどの美味。食材をふんだんに使い、青森の伝統的な郷土料理を独創的にアレンジしたメニューには、終始ワクワクし通しであった。
翌朝のお楽しみは、渓流を目の前にテーブルを広げる朝食。澄み渡った朝の空気の中で、北欧のオープンサンド「スモーブロー」や温かいスープなどをいただける。ちなみに呑兵衛としては、渓流を眺めながら冷えた「奥入瀬ビール」や地元のシードルを飲むのも捨てがたい! 朝食が終われば、渓流コンシェルジュと共に歩く渓流散策へ。解説を聞きながら、ルーペを片手に苔をのぞき込むのもここでしかできない体験だろう。
星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル
川のせせらぎ、ブナやカツラの木が放つ香り……。豊かな自然を五感で堪能。10月までは奥入瀬渓流を目の前にしながら、テラスで朝食がいただける。
(家に帰って)八戸の食材と酒のマリアージュ。
そして、私の旅は帰宅しても続く。旅先で買ったお酒と食材で晩酌するまでが旅だからだ。
青森では名産のニンニク、長芋、殻付きの帆立をチョイス。ニンニクは、驚くほど粒が大きくみずみずしい。これほど立派なら、丸ごとオリーブオイルで揚げ焼きにするのがいい。ほくほくねっとり仕上がるので、パンにたっぷり塗ればワイン泥棒だ。
長芋は、片栗粉をつけてゆでて冷やすプルプルの水晶鶏と合わせて梅だれで。これも日本酒が進んで仕方がない。極厚の帆立は、刺し身にはもちろんレア気味に火を入れるフライでぜひ。加熱することで帆立の甘みが増し、揚げたてをクラフトビールと合わせれば、いくつでも食べられそうになる。
こうやって晩酌をしながら、楽しかった旅を思い返すのが至福の時間。ああ、次はどの季節に行こうかな。県内の別地域を訪れてみるのもいいかも。そんな次回の旅への想いを馳せながら、また今夜も杯が進んでしまうのだ。
丸ごとニンニクのコンフィペースト
(ニンニク)×(ワイン)
【材料(2人分)】
ニンニク 1個
オリーブ油 1/2カップ
ローズマリー 2枝
ローリエ 2枚
好みのパン・生ハム・ウニ・塩 各適量
【作り方】
1.ミニココット鍋にニンニク、オリーブ油、ローズマリー、ローリエを入れる。
2.ふたをして弱火で20分ほど、ニンニクに竹串がすっと通るまで加熱する。
3.パンにつぶしたニンニクを塗り、生ハムやウニをのせて好みで塩をふる。
ホタテのフライとミントヨーグルトソース
(ホタテ)×(クラフトビール)
【材料(2人分)】
刺身用ホタテ 4個
小麦粉・卵・パン粉・レモン・塩・こしょう 各適量
A[ギリシャヨーグルト 1/4カップ、ミントやディルなど好みのハーブ(刻む)適量、塩 少々]
揚げ油 適量
【作り方】
1.器にAを混ぜる。
2.ホタテに塩・こしょうをし、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつける。
3.180度の揚げ油に入れ、1~2分揚げる。A、レモンを添えていただく。
たたき長芋と水晶鶏の梅シソ和え
(長芋)×(日本酒)
【材料(2人分)】
長芋 120g
鶏むね肉 100g
シソの葉(千切り)2枚
片栗粉 大さじ1
氷水 適量
A[梅肉 大さじ1、みりん・水 各小さじ1、醤油 小さじ1/2]
【作り方】
1.器にAを混ぜる。
2.鶏むね肉は皮を取り、5mm厚さのそぎ切りにする。ポリ袋に鶏肉、片栗粉を入れてまぶす。熱湯で2分ほどゆで、氷水にとって冷やす。
3.長芋は皮をむいて3cm幅に切り、2とは別のポリ袋に入れてすりこぎで叩く。
4.ボウルに鶏肉と長芋を入れて合わせ、軽く混ぜて器に盛り、Aをかけてシソの葉をのせる。
羽田空港から三沢空港まで80分! 1日4往復が運航。
青森県東部の玄関口である三沢空港から八戸市街地までは、車で約40分と好アクセス。館鼻岸壁(たてはながんぺき)朝市の活気に触れて、地元ならではの酒と肴に舌鼓を打つ。飛行機を駆使して同地の魅力をフルで感じてみよう。
「のれそれ青森旅キャンペーン」も 実施中。
8月31日まで青森県・JAL・星野リゾートのコラボによって夏の宿泊特別プランも用意。奥入瀬渓流ホテルに滞在すると人気のアクティビティ「こけ玉作り体験」に参加できるとともに「こけガチャ」も楽しめます。さらには青森県からのプチギフトも進呈。
検索ワードはこちら。[ジャルパック のれそれ青森]
『クロワッサン』1097号より
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