頑張らない、完璧を目指さない。大掃除の鍵は事前の準備でした。
イラストレーション・グレース・リー 文・小沢緑子
[準備4]汚れの種類を知って洗剤を選ぶ。
「こまめにちょこちょこ掃除をしていると汚れはたまらず、特に強い洗剤や、場所ごとに違う専用洗剤を使う必要もなくなります」
毎日の掃除で石阪さんが愛用するのは、電気分解した掃除用水スプレーとアルコール系スプレー。
「日々の汚れは万能に使えるこの2種類があれば充分」
換気扇の油汚れやバスタブの念入り掃除をしたいときは、湯に酸素系漂白剤を溶かし浸け置き洗い。
「汚れが浮き、奥に隠れていた汚れも取れてスッキリ」
ほかにも掃除効果に納得したのが電動スプレー付きカビ取り剤、研磨剤入りの石鹼クレンザー。酸性トイレ用漂白剤は、本来の使い方にはないが、黒ずんでいた玄関タイルが見違えたそう。
「長年のこびりついた汚れだけは化学の力で取るのがやはり効率的。汚れの程度で上手に使い分けを」
冷蔵庫内、鏡、 日常の窓ガラス掃除 → アルコール系スプレー
食品に直接かけられるアルコール系スプレーは冷蔵庫内のほか、鏡や窓ガラス掃除にも使える。「いろいろ試した結果、これを吹きつけてマイクロファイバークロスで拭き取るのが一番きれいになります」
フローリング、キッチンの油汚れ、 洗面台・トイレ、家具拭き → 電気分解した掃除用水スプレー
「水を電気分解した掃除用のアルカリ電解水は家具や電化製品の塗装が傷まず、ほぼ何にでも使えるのが便利です。油汚れにも強く、吹きかけて一晩ラップパックをすると汚れが浮き上がってきます」
お風呂、キッチンなど カビ全般 → 電動スプレー付きカビ取り剤
大家業も行う石阪さん。「管理物件でバスルームがカビだらけで絶句したことが。その際、活躍したのが電動スプレー付きカビ取り剤。軽くレバーを引くだけで広い面にまんべんなく噴射できるのでラクです」
シンクや換気扇などの ひどい油汚れ、 バスタブ・バスグッズ汚れ → 界面活性剤入り酸素系漂白剤
「キッチンの油汚れやバスルームの念入り掃除には、今のところアメリカ製のオキシクリーンのような界面活性剤入り酸素系漂白剤が一番。65℃くらいの熱めの湯に溶かして浸け置き洗いがおすすめ」
シンクや鍋磨き、 油汚れがひどいコンロ前の壁 → 天然の研磨剤(湯の花)入り 家庭用万能石鹼クレンザー
「頑固な油汚れは浮かせて取る以外に、”掻き落とす”方法も。湯の花に石鹼を配合したクレンザーは、スポンジにつけてこするだけで、シンクやコンロ前の壁がツルツルピカピカに。鍋磨きにも便利」
トイレ、玄関タイルにも → 酸性トイレ用漂白剤
「すごい!と思ったのが、経年劣化だと諦めていた家の玄関タイルの黒ずみが取れたトイレ掃除用の酸性洗剤。スポンジに取り、のばしてから、メラミンスポンジでこすって水で流すと見事にきれいに」
*使用前に目立たない場所で確認してください。
[準備5]大掃除の流れを決める。
「掃除はやみくもに行うと、どの場所も中途半端に終わりがち。あらかじめ流れを決めておきましょう」
効率がいいのが、下の順番。
「まず掃除の際に邪魔になる家の中や床の上に置いた不要なものは処分。するとそれまでモノの陰に隠れていた汚れにも気づきます」
次は家の外回りをザッと掃除。
「その後に家の中へ。個人の部屋は各自で掃除し、きれいな居場所を確保。次に共有スペースを分担し、水回り、リビング、玄関内の順に行うと、掃除効果が目に見えてわかりやすいので気力も続きます」
ホコリは上から下に落とし、最後に床に落ちたホコリを集めて捨てる基本の流れも家族で共有を。
1 不用品を全出し
掃除しやすい環境を作るために、室内や収納に詰め込んだ不用品は捨て、モノを減らし、床にモノを置かない状態にする。
2 外回り
家の中の掃除を始める前に、玄関ポーチやその周りを掃除。外回りの掃除が必要ないマンションの場合、この2は省く。
3 個人の部屋
子ども部屋、夫の書斎など、個々のプライベートスペースを各自で掃除。自分がくつろげる場所を先にきれいにして確保。
4 水回り
共有スペースはキッチン、洗面所、風呂、トイレの水回り掃除から。シンク周りのコーキングも補修できればなおよい。
5 リビング
家族が集まるリビングは汚れやすい。照明の笠やエアコンの上からホコリを落とし、最後にソファやテーブルの下も掃除。
6 玄関内
仕上げは玄関。天井、照明の笠、壁のホコリも払ってから、下駄箱や飾り棚の上や中、最後に玄関のたたきの掃除に移る。
[準備6]掃除道具のレンタルをする。
念入り掃除のとき、高圧洗浄機やスチームクリーナーなどの清掃用具をレンタルするのも賢い方法。
「家庭用のコンパクトで扱いやすい機種があり、驚くほどきれいになります。今は3泊4日などで気軽にレンタルできるサービスがあるので、借りれば置き場所や収納場所に困ることもありません」
高圧洗浄機は主に外回りで活用。
「家の外壁やブロック塀、窓やベランダなどのブラシで落としきれない汚れが水圧で面白いように取れます。玄関のたたきの隙間に生えている程度なら、噴射であっという間に雑草も抜けるほど」
スチームクリーナーは換気扇の油汚れやフローリングの掃除に利用すると除菌効果も期待できる。
●[掃除道具レンタル]
・レンティオ
https://www.rentio.jp
問い合わせ TEL.050・3188・7077
家電のお試しができるサービス。大掃除時期に毎年人気なのは高圧洗浄機(アイリスオー
ヤマ、ケルヒャー各3泊4日6,480円〜)、窓掃除ロボット(ホボット7泊8日8,980円〜)。料金は往復送料、補償込み。気に入れば買い取り可(1年間無料保証サービス付き)。
・ゲオあれこれレンタル
https://geo-arekore.jp
必要なときに必要な期間、家電をはじめさまざまな物品がレンタルできるWEBサービス。掃除道具は高圧洗浄機(ケルヒャー、マキタ、リョービ各3泊4日5,980円〜)、スチームクリーナー(ケルヒャー3泊4日4,780円〜)など。料金は一部区域を除き往復送料込み。
[準備7]プロに発注もあり。
苦手だったり面倒な場所の掃除は自分でやらなくても構わない。
「時間、手間、労力を考えると、〝しなくてもいい掃除〟は存在します。疲れたり、イライラして挙げ句の果てに家族に当たってしまうくらいなら、プロに任せたほうがいい。今は掃除代行会社が増えて料金もわかりやすいですし、季節によってキャンペーンがあることもあり頼みやすいと思います」
特に自分で掃除するにはハードルが高い、換気扇やエアコン掃除は一度頼む価値あり。
「専用洗剤で家庭では取り切れない汚れを落としてくれますし、プロならではの掃除方法を一度見るのは、よい参考になると思います」
●[掃除代行サービス]
・ダスキン
https://www.duskin.jp
問い合わせ TEL.0120・100100
GW前後の初夏から秋口、年末の時期も人気が高いのが、エアコンクリーニング(1万4300円〜)。以前より家で過ごす時間が増えたことで、レンジフード(1万9800円〜)、キッチンクリーニング(1万8700円〜)もニーズ増の傾向。HP上で料金シミュレーションが可能。
・ベアーズ
https://www.happy-bears.com/
問い合わせ TEL.0120・552・445
年末前に人気なのは浴室(1万9910円〜)、換気扇全体(1万7600円〜)、エアコン(1万4190円〜)クリーニングの順。76項目の品質試験を合格したスタッフが訪問し、サービス終了後の15分以内にフォローコールも行う。ネットでの予約は見積もり不要で、日時の確定可。
・カジタク(アクティア)
https://www.kajitaku.com
問い合わせ TEL.0120・525・827
イオングループが運営。大掃除やエアコン使用開始前時期に、早得のキャンペーンも実施。仕上がりに満足できない場合はやり直す、満足保証付き。見積もり不要で全国一律料金(エアコンクリーニング 通常タイプ1万3200円、レンジフードクリーニング1万4850円)。
『クロワッサン』1059号より