美味しいもの好きが選んだ、卵・鶏・豆腐・納豆の店。
撮影・黒川ひろみ 文、構成・松本あかね
小川 糸(おがわ・いと)さん
小説家
2008年『食堂かたつむり』でデビュー。海外でも多数翻訳されている。ベルリン滞在を経て東京在住。近著は『ライオンのおやつ』(ポプラ社)。
「卵かけご飯にするのが好き。 無人販売ロッカーで買っています」
東京・世田谷の農園で放し飼いの鶏が闊歩。「アローカナ」「ボリス・ブラウン」の2種のうち、小川さんは後者がお気に入り。白身がぷるんと立ち上がり鮮度抜群。
栗原 友(くりはら・とも)さん
料理家
鮮魚店勤務を経て昨年、東京・築地に鮮魚店『クリトモ商店』をオープン。近著は『魚屋だから考えた。クリトモのかんたん魚レシピ』(文藝春秋)。
「大ぶりで肉厚、身がふわふわ。 ジューシーな塩焼きがおすすめ」
鶏、鴨のほか鰻や鮎など里山の幸を扱う京都の鮮魚・精肉店で、毎朝捌く平飼いの京赤地鶏。鶏の脂で焼くとより赤身の旨味が引き立つ。すき焼き、網焼き用にカットも依頼できる。
宇和川恵美子(うわがわ・えみこ)さん
「GRANDMA MAMA DAUGHTER」デザイナー
祖母から母へ、娘へと受け継がれる洋服作りをコンセプトに2010年、自身のブランドを設立。京都にアトリエを構える。
「京都の料理屋で出合った味。ひと口目はそのまま味わって」
濃く滑らかな舌触り。「冷や奴はもちろん温かいご飯にのせて青じそ、もみのり、すりごま、ごま油とだし醤油でいただく丼もおすすめ」。長さ30cm超えのお揚げはこんがり焼いて生姜醤油で。
石井泰二(いしい・たいじ)さん
「七転納豆探検隊」主宰
会社勤めのかたわら全国各地を訪ね、納豆の魅力を発信。これまで3500種以上を実食。近著は『納豆くらべ』(文苑堂)。
「真摯に作られた梅フレーバーで、納豆の新境地を」
「『梅納豆』は梅果肉入りでカリッとした食感のタレ。『梅の花納豆』は梅から採取した乳酸菌配合の爽やか系。『梅香り立つ逢わせ納豆』は黒豆と黄大豆のミックス納豆にダシの効いた梅肉タレが絡む」。
chizu(チズ)さん
スタイリスト
料理を中心にインテリア、ジュエリーなどのスタイリストとして活躍。著書に『私をぐっと素敵に見せる大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所)が。
「いろいろな部位を使い分けて料理する、工夫が楽しい」
宮崎の山林で野草や腐葉土をついばみ、湧き水を飲んでストレスなく育つ「黒岩土鶏」。「生産者の方の鶏への誠実さにも共感します」。かむと澄んだ肉汁がじゅわり。
渡邉麻里子(わたなべ・まりこ)さん
「タルマーリー」オーナー
鳥取県智頭町で野生の菌で発酵させるパンとビールの製造、カフェの運営を夫と共同で手がける。近著は『菌の声を聴け』(ミシマ社)。
「鳥取県雨滝のきれいな水で作ったお豆腐です」
「県内産の大豆の味がしっかりして美味しい。青紫蘇をのせた冷や奴、肉豆腐、スンドゥブにとしょっちゅう食卓に上ります」。「生しぼり製法」でえぐみのないすっきりした味わい。
井川直子(いかわ・なおこ)さん
文筆家
料理人、生産者、醸造家らをテーマに執筆活動。最新刊は『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』(文藝春秋)。
「野趣あふれる肉と濃厚な卵。 『土佐ジロー』の親子丼をぜひ」
「土佐地鶏」を由来とする「土佐ジロー」。親子丼にはがらスープ(378円)も合わせて。同梱のレシピに沿ったシンプルな調理法からお試しを。
「潔くきりっとしたお江戸の味。 白ワインと相性良し」
「漬物屋さんが作る味噌漬け卵。チーズに添えたり、水切り豆腐にのせてオリーブオイルを垂らしても」。
村上竜一(むらかみ・りゅういち)さん
『納豆マガジン』編集長
インスタグラムで発信した納豆レビューをきっかけに、今年3月『納豆マガジン』(さりげなく)を創刊。nattomagazine.net
「一粒一粒の旨味、強い糸引き。誰もが虜になるはず」
滋賀県の在来種「みずくぐり」は従来の大粒大豆よりひと回り大きい。「200回以上混ぜるとより美味しい」。栽培期間中農薬・化学肥料不使用。
「経木の香りと豆の甘味。2種のタレで味変も楽しめます」
舟形パッケージでおなじみ「舟納豆」の人気商品。「国産青大豆『黒神』を使い、甘みが格段にアップ。緑がかった色合いも珍しい」。
松浦達也(まつうら・たつや)さん
フードアクティビスト
食専門誌から新聞、ウェブまで執筆。テレビ、ラジオで食のトレンド解説も。著書に『新しい卵ドリル』(マガジンハウス)ほか。
「カステラのように甘い玉子焼き。 デザート感覚でいただく贅沢」
昭和27年創業、神戸の卵焼き専門店の魚肉すり身入り卵焼き。「関西の知人に紹介してもらいました。この道60年の職人の技術が生む、見事な美しい焼き色に感銘」。
「現地で食べ衝撃。 懐かしい店の味が蘇りました」
「カレー味のスナックを彷彿とさせるノスタルジックな風味がたまらない」。休ませながら温め、加熱ムラを防ぐのがコツ。
野村友里(のむら・ゆり)さん
「eatrip」主宰、料理人
食のイベント、プロデュースのほか、「restaurant eatrip」「eatrip soil」を運営。近著は『会いたくて、食べたくて』(マガジンハウス)。
「黄身はもとより白身が美味! 茹で卵で真価を発揮します」
甲斐駒ヶ岳の麓、欧州基準の動物福祉を目指す農場で、ケージフリーで伸び伸び育った純国産種「岡崎おうはん」。ほんのり甘い白身、コクのある黄身の卵は最高だ。
※特に記載のない場合は通販可。別途、送料・払込手数料がかかります。
『クロワッサン』1052号より
広告