Twitterで大人気の寿木けいさんの、賢く美味しい料理の時短メソッド、8つのアイデア。
撮影・MEGUMI 文・石飛カノ
[時短 アイデア 5]ごはん、汁物、おかずを30分で。 火を制する、ライブな料理の流れ。
仕事帰りに子どもたちを迎えに行き、帰宅してから夕食の準備。寿木さんは準備に費やす時間を30分と決めている。
「鍋でごはんを炊いて蒸らしあがるまで25分程度かかります。この炊飯時間に合わせて、おかずと汁物を作り、献立を仕上げます。平日は手のかかる料理をしないので帰宅して30分後には”いただきます”ができています」
炊きあがりと同時にすべての料理を完成させるには段取りが命。ひとつの場所で行う作業は一度に済ませる。まな板で野菜を切る、フライパンで野菜を焼く、これらは一気に行うのがコツ。
火を使う作業では、炒め物のようにつきっきりになる料理より、蒸し焼きやある程度ほったらかして焼くレシピのほうが段取りに組み込みやすい。このように火を制することが時短料理のカギ。
さらに、30分調理で生きてくるのが朝の「ちょい仕込み」。
「汁物のじゃがいもは朝の仕込みで泥を落として切っておきます。昆布といりこを浸した出汁や酢、砂糖、塩を混ぜた寿司酢も朝作っておくと手早くできあがります」
それでは実際にどのような段取りで進めていくのか、ライブ形式でお届けします!
【献立】
・鯛と菜の花の寿司
・スナップえんどうとれんこんのほったらかし焼き
・じゃがいもとわかめのスープ
1.米を炊く
米を洗って、炊き始める。水の量は、米と同量。無水鍋なら炊きあがりまで約20分。
2.野菜を切る
菜の花、れんこんを切り、スナップえんどうは筋を取る。みょうがはみじん切りにして水にさらして絞る。
3.刺し身にひと塩
バットなどに薄く塩を振ってから鯛の刺し身を並べ、その上から塩を振る。
4.菜の花を焼く
フライパンに油を熱し、ひと口大に切った菜の花を広げ、薄く塩を振る。油を全体に馴染ませたら1~2分蒸し焼きに。
5.野菜をほったらかして焼く
同じフライパンに再び油を熱し、スナップえんどう、れんこんを入れて焼く。薄く塩を振って弱めの中火で両面を2分ずつ焼く。最後に鍋肌から醤油をひと回し。
6.ごはんを蒸らす
ごはんの鍋を火からおろして、5分間蒸らす。
7.汁物を作る
鍋に出汁、じゃがいもを入れ、火にかける。じゃがいものふちが透きとおってきたら、乾燥わかめを加え、塩と醤油で味を調える。
8.酢飯を作る
蒸らしたごはんに寿司酢を振りかけ、白ごまとみょうがを散らし、しゃもじで切るようにしてよく混ぜる。
9.盛り付ける
酢飯を器に広げ、鯛をのせ、隙間を菜の花で埋めるように盛り付ける。ほったらかし焼きと汁物を、それぞれ器に盛る。
[時短 アイデア 6 ]平日の朝は同じメニューで手早く、週末ごはんはゆったりと遊び気分で。
平日の朝食はあえて同じメニューに徹する。ごはんに納豆、野菜の味噌汁に季節の漬物。と、献立はとてもシンプル。
朝食の材料は100円ショップのカゴに入れて冷蔵庫に保存。冷蔵庫からさっとカゴを取り出すのが毎朝の習慣。いたって合理的だけれど、これはなにも平日の朝は時間がないから、という理由だけではない。
「毎朝同じメニューだと、食欲がない、味が濃く感じる、おなかがゆるいといった子どもの体調の変化に早く気づけるからです。子どもたちだけでなく、大人の体調管理にも役立ちます。そのかわり、週末は子どもたちの好きなパンを並べたり果物を大皿に盛り合わせたりして、遊び気分で食卓を囲んでいます」
平日の朝食は6時半から7時の間に、休日は8時過ぎにのんびりと。こうして時間に抑揚をつけることが、肩肘張らずに料理と向き合うコツのひとつ。
(平日)ごはんと納豆、味噌汁に1杯のお茶の「ザ・和食」。この基本形に卵料理が加わることも。
(休日)とある週末の朝食。主食は種類豊富なパン。フルーツの盛り合わせを食卓に出すと、子どもたちが「キャー!」と歓声を上げるそう。とろとろの半熟卵を添えて。
[時短 アイデア 7]料理を作らない日、 食べない日があったっていい。
料理を作らない、あるいは食べない日を設けている寿木さん。
「毎週水曜日は夕食を作らず、近所のお店のテイクアウトなどで済ませます。子どもたちは案外、喜んで食べていますね。月曜日を夫婦ふたりの”断食デー”に当てることもあります。私たちはいつも料理を作りすぎているし、食べすぎていると思っているので」
句読点があると、日々の料理は楽しくも持続可能なものになる。
[時短 アイデア 8 ] 「味の道具箱」を用意すれば、定番メニューもささっと味わい豊かに。
寿木さんの秘密兵器のひとつが、「味の道具箱」なるもの。中身は黒ごま、青のり、ゆかり、塩昆布、鰹節、乾燥わかめ、クミン、七味唐辛子、コンソメなど。
「気づくと醤油味ばかりになってしまうことがありますよね。スパイスやアクセントになる薬味があれば、味の幅が広がります。ひとりごはんや、あとひと皿欲しいときに役立てています」
たとえば、上のような薬味サラダの味もささっと決まる!
保存容器に入れた薬味をカゴの中に一式揃えておき、その日の気分で使い分け。
↓
切って和えるだけ 薬味サラダ
1.みょうが2個は千切り、三つ葉1束は食べやすい長さに切る。ともに2〜3分水にさらしてから、水気をよく切る。
2.ボウルに移し、適量のごま油をかけてよく混ぜ、全体を薄く均一にコーティングする。白ごま、塩昆布、おかかを好みの量かけて、さっくり混ぜ合わせる。
『クロワッサン』1043号より
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