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【紫原明子のお悩み相談】職場の年下男性に好意を持たれています。

『家族無計画』や『りこんのこども』などの著書があるエッセイストの紫原明子さんが、読者のお悩みに答える連載。今回は職場の年下社員の好意を受け入れるべきか否か悩んでいる女性からの相談です。

<お悩み>

紫原さんはじめまして。 私は3年前に離婚したバツイチで子供はいません。 離婚理由は割愛しますが3年経ちやっと1人の生活が楽しめるようになってきました。 離婚後はずっと1人でいましたが同じ職場の17歳歳下の男性に好意を持たれていると人伝に聞き私自身も薄々気づいていました。彼は26歳です。社内恋愛となるとそれなりの覚悟が必要となると思っています。彼の好意を受けて良いのか、深く関わらず距離を置いた方が良いのか。率直なご意見お聞かせください。

(マリモ/女性/商社で事務をしている40代の会社員です。3年前に離婚しバツイチです。)

紫原明子さんの回答

マリモさんこんにちは。夢のある話をありがとうございます! お手紙を読んでいるだけで胸が高鳴り、視界が開け、乾燥していたお肌に潤いが蘇り、マリモさんと縁もゆかりもない私の人生までもがパーっと輝きだしたようです。最高じゃないですか! マリモさんは私の夢です! もう数年で40代に突入する私も、なんとかマリモさんのように年下の男の子から恋心を抱かれるお姉さんになりたい! 年下の男の子が私への恋心を募りに募らせ、一人で抱えきれなくなってつい同僚に相談を持ちかけるくらいに強く、強く想われたい! そしてもしそうなったとしても、マリモさんのように別段取り乱すこともなく自分の置かれた環境を鑑みながら、さてどうしたものかと冷静に検討するくらい余裕のある大人になりたい! 眩しい、眩しいです!私ならすぐに「オッケーいつご飯行く?」と後先考えずにがっついて逆に引かれそうですが、ここはお悩み相談の場なのでマリモさんの立場に立って考えなければなりません。よし冷静になろう。

マリモさんは、「好意を受けて良いのか」迷っている、とのことなので、そもそもご自身も、彼が恋人としてナシではないんですね。けれども当然ながら何があっても仕事を失うわけにはいかない。仮にもし彼と気まずくなったり、こじれたりしたとしても、仕事環境には支障のないようにしなければならない。となればやはり、彼がさまざまなリスクを負っても付き合うに足る人物かどうかを、慎重に見定める必要があるでしょう。もし私がマリモさんなら、まずはそのことを率直に彼に伝えると思います。「あなたのことを恋愛対象として見ることはできる。でも、女が一人で稼いで生きていくのは簡単なことじゃない。年齢が上がれば上がるほど転職も簡単ではなくなる。だから簡単な気持ちで付き合うにはリスクがある」と。

これを話すことで、一旦ボールを彼にパスして、彼の出方を見ましょう。彼はそれに対してどんな対応を返してくれるでしょうか。

そもそも年齢が離れていたり、バックグラウンドが異なったりする相手と深く付き合っていこうというときには、「そんなことまで言う必要があったんだ」と思うほど当たり前のことでも、あえてひとつひとつ言葉にしていくことが大切だろうと思います。生きてきた時間や場所が異なることで、見える世界も全く変わります。先々で何か意見の違いが表面化したとき、それを二人で乗り越えていけるかというのは、そこに至るまでの背景に想像力を働かせられるかと深く関わっています。一度結婚しているマリモさんと、一度も結婚したことのない彼との結婚感が違っていたとしてもそれは当然のこと。当然のことと思えるのは、お互いの結婚歴を知っているからです。お互いの事情を考慮し、想像力を働かせながら付き合っていける相手かどうかを、まずはマリモさんから彼にボールを投げて、そのレスポンスで確認していきましょう。

そういえば私がよく行くバーのマスターは、20代の頃、自分より随分年上の子持ちのお姉さんと結婚しているのですが、なんと今の奥さんと付き合うまで1ヶ月間毎日、手書きのラブレターを書いて送り続けたそうです。すごいですよね。さすがにそれだけやってもらえたらよほど自分のことが好きなんだなということがわかるし、文章からはその人の考え方だってわかります。また何より、相当に根性がある人物だということがわかりますね。これだけの根性があれば、バックグラウンドの異なる相手をパートナーに持ったとしても、投げ出さずしっかり受け止めてくれそうです。こういうことが付き合う前にわかると随分安心できますよね。

だからいっそのことマリモさんも、遠慮せず彼に懸念点を伝えるだけ伝えて、それでも尚付き合いたいというのならどうぞあなたが私を安心させてみてくださいと、ぜひかぐや姫のようにでーんと構えて待っていましょう。せっかくまた恋愛なんていう嗜好品を楽しむのだから、ゆっくり時間をかけて。またお相手も、面倒ごとを美味しく味わってくれる人の方が望ましいです。そこで彼から何が返ってくるかをもって、好意を受け入れるかどうかを判断しましょう。……もうこれだけでかなり楽しいですね。そして万が一期待外れの結果が返ってきたら、マリモさんは彼には手の届かない月の人だったと、思ってお引き取り願いましょう。仮にそうなったとしても、すぐにまた次の誰かが現れますよ。

お相手が彼かどうかはさておき、これからもぜひ素敵な恋愛を楽しんでください。
機会があればぜひまた、その後の展開も聞かせてくださいね。

イラスト:わかる
イラスト:わかる
  • 紫原明子

    紫原明子 (しはらあきこ)

    1982年、福岡県生まれ。個人ブログが話題になり、数々のウェブ媒体などに寄稿。2人の子と暮らすシングルマザーでもある。Twitter

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