これからの暮らしに寄り添う物だけ。減らすだけじゃない、松見早枝子さんの持ち物管理術。
撮影・青木和義 文・板倉みきこ
スッキリしすぎだと味気ない。物を飾る楽しさも必要ですね。
「自宅で開催している料理教室の生徒さんのほか、撮影や打ち合わせの日も入れると、3日に一度は誰かが訪れます」と言う松見早枝子さん。
「片づけや掃除だけにあまり時間をかけられないので、作業しながら片づけられて、さっときれいにしやすい空間を維持する必要があるんです」
松見さんの片づけ&収納ルールは、〝迷わずひと目でわかる〟こと。
「ワンアクションで欲しいものがすぐ取れるよう、収納場所に奥行きを作らないのが大事。また、見せる場所、見せない場所をしっかり分けて、お気に入りのものを飾る楽しさも味わいます」
この家に住み始めて5年目を迎えた昨年、増え続けた所有物の大掛かりな整理整頓に取り掛かった。
「気に入ったものを買うのが好きな性分。いつしか物が増えすぎて取り出しにくくなり、使っていないものも多々。見直してみると、いつの間にか自分の好みがしっかり定まっていて、今後も使うか、そうでないかをすぐ判別できました」
愛すべきものに囲まれ、随所のディスプレイにも気を配る、松見さんの〝片づけすぎない〟自宅を見せてもらった。
キッチンは出すものとしまうものを分ける。
料理教室にもなるキッチンは、公私混合のスペースともいえる。
「家の中で一番長くいる場所だから、効率のよさが最優先。調理器具やお皿、調味料などの数が多いので、誰が見てもすぐ取り出せる、見てわかりやすい収納を心がけています。また、よく使うものは見える場所に、頻度が少ないものはしまうなど、メリハリをつけることで見た目が煩雑になりません」
多彩なスパイスは同じガラス容器に入れてラベリング。「棚に入れると取り出しにくいので直置きに。重ねるのは2段までなら取り出しやすさを維持できます。残量が見えるのも利点です」
ご飯の温め直し以外ほとんど出番のない電子レンジは収納扉の中に。「以前は外に出していたのですが、スペースを無駄に占拠するのでしまうことに。電源コードを出せばこのまま使えます」
工業用パイプをアレンジしたデザインの物掛けはイギリス製。「本来はコート掛けですが、S字フックやワイヤークリップを足し、エプロンや布巾、ブラシなどを吊るして乾かせるスペースに」