日々私たちの心を惑わす欲という感情も、善悪という基準では判断できない。
「欲がすぎると執着となって心が乱れますが、全く欲がないというのも問題。どちらの状態でもバランスを崩し、物事が停滞してしまいます。生きている限り、行きすぎたら戻し、足りない時は足す感覚が求められるのです」
そこで必要となるのは、自分の内面がどれだけ落ち着いているかどうか。
「心地よさの基準、大切なものは人それぞれですが、心が乱れていれば判断は誤りますし、過剰に何かを求めてしまうこともあるでしょう」
私たちの心を乱す、主な原因として谷口さんが考えているのが、周囲のものや人から得る、負の気や穢れだ。
「見たもの、触れたものが自分自身を作っているからです。もちろん不安やイライラは人のせいではなく、自分の中から生まれているのですが、他人のネガティブな感情を受け続けていると、自分に負の気が溜まっていきます。また、雑然として乱れた場所なども負の気を生むもの。負の気が増えるほど苦しみが増し、災いや病をもたらす“厄”になってしまうのです」
そこで、誰にでも日々溜まっていく“厄”を減らす習慣を取り入れ、心身のバランスを整えていきたい。
「自分で変えられることを3原則として提案します。目や耳から入ってくるものを整理し、負の気や厄を生みやすい思考パターンを見直しましょう」
続いて教えてくれたのが、外から受けた厄をこまめに払い落とす方法。
「肩を払う、拍手(かしわで)を打つなど、古来の作法にも深い意味があります。厄を溜めない生活を続けていくと、自然と心が乱れにくくなりますよ」