布使いのひとワザで魅せる、インテリアデザイナー小林マナさんの空間作り。
撮影・柳原久子 文・一澤ひらり
森の緑を眺めながら、台所仕事ができる喜び。
広がる樹木と調和する、シャープな黒いタイル。
「四季折々の豊かな自然を眺めながら料理をするのは至福です。日々の料理はここでしています。スタッフとは食事を共にしていて、お弁当を持参する彼らのために野菜スープをふるまうのも、私の大切な日課なんです」
スタッフが使いやすいようにカトラリーや食器などがきちんと仕分けられ、収納されている。さらに目を惹くのは黒いタイルと白のシンクが織りなすコントラストの、シャープな美しさ。アイランドキッチンも考えたが、森を眺めて料理を作る喜びが上回った。
「窓から見える緑が黒のタイルで一層映えるんです。また仕事場でもあるので、気持ちをキリッと引き締めます。対照的に白のシンクや調理台は手元がきれいに見え、心地いい空間です」
テーマは「北極」。設いも機能性もクールに。
清々しさに浸れる配色、ガラスタイルのバスルーム。
清潔感あふれるバスルームは、洗面台、バスタブ、シャワー、トイレをひとつに。バスグッズや掃除道具などは、洗面台下やミラー裏の戸棚に収納してスッキリまとまっている。印象的なのは、床や壁に貼られたブルーグリーンのガラスモザイクタイル。
「バスルームは『北極』をイメージして選びました。洗面台には私がコレクションしているシロクマのオブジェを置いて、雰囲気を演出しています」
夏は冷涼感に癒やされて、冬は冬で温かなバスタブへの恋しさを募らせる。
「部屋がガラスタイルで構成されているブラジルの建築家、リナ・ボ・バルディの『ガラスの家』を見学して、取り入れてみたんです。水の中にいるようなガラスの陰影が美しいですね」
小林マナ(こばやし・まな)さん
インテリアデザイナー
夫の恭さんと設計事務所imaを設立。「マリメッコ」の店舗設計やプロダクトデザインを手掛けるなど、幅広く活躍している。
『クロワッサン』1030号より
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