髭男爵・山田ルイ53世さん、ステイホーム中に受けた長女の神対応にしみじみ。
文・山田ルイ53世
“新型コロナウィルス”の感染拡大、その影響は凄まじく、多くの人々の暮らしを一変させた。
勿論、筆者もその1人である。
このご時世、人が集まるイベントごとはご法度。
結果、俗に言う“地方営業”のオファーは軒並みキャンセルとなり、3月、4月、5月と綺麗さっぱり無くなった。
恐らく6月以降も期待は出来まい。
当分この状況は続きそうである。
今は書き物やラジオ番組、何かしらのリモート出演など、残された仕事を細々とこなす日々。
妻の前では、
「大丈夫、大丈夫!」
とおくびにも出さぬが、正直不安である。
いや、窮状は皆同じ。
致し方あるまい。
収入面での心配もさることながら、長引く「外出自粛」も厄介だ。
「友達と会いたい!」
「旅行したい!」
としんどい思いを抱えている方は少なくないだろう。
しかし、筆者の場合、家に籠ることそれ自体は、さほど苦でもなかった。
14歳の夏、とあるキッカケから不登校となり、そのまま“ひきこもり”。
20歳手前まで、基本的に部屋の中の風景が全てだった。
「あーあ……人生が余ってしまったなー」
と虚無感に苛まれながら過ごしたあの6年間を、『おうち時間』などと“ゆるふわ”に総括することは到底無理だが、ある意味「StayHome」のスペシャリストと言えよう。
筆者などより、心配なのは長女(小2)のこと。
かれこれ3か月近く、ロクに学校へ通っていない。
もっと友達と一緒に勉強したり、遊んだりしたいだろうにと、不憫である。
あれは“一斉休校”が始まって、まだ1週間も経たぬ頃。
自室で原稿を書いていると、何やらリビングの方が騒がしい。
何事かと覗いてみると、妻のスマホから流れるアニメの主題歌をBGMに、長女が踊り狂っていた。
しかも、不気味な、もとい、個性的な振り付けだったので、
「学校で流行ってるの?」
と尋ねると、
「もーちゃん(長女のこと)が考えたー!」
……自ら編み出した、“創作ダンス”だとのこと。
いや、別に問題はないし、児童心理の専門家でもない筆者の考えなど、きっと見当違いだろうが、
(ストレスの発露か!?)
(もう、やることが無くなったの!?)
と愕然とした。
この出来事以降、「娘のダンス中は、リビングに足を踏み入れてはならぬ!」という“特措法”が我が家で成立。
踊りを見られるのがよほど恥ずかしいのだろう。
他ならぬ、長女本人に、
「覗かないでね!」
と厳命された。
もはや、“鶴の恩返し”。
不便である。
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