スマホ、PCから離れて一呼吸。デジタルデトックスで心身を癒やす。
文・樋口可奈子 背景写真・アマナイメージズ
寝つきが悪い、眠りが浅い。睡眠にまつわる悩みには、デジタル機器の影響も少なからずあるという。
「スマホやパソコンの画面から出るブルーライトが睡眠にかかわるメラトニンというホルモンの分泌を妨げることによって、眠りの質が落ちたり、自律神経のバランスが乱れて疲れやすさを感じたりといった弊害が出ます」
と、睡眠コンサルタントの友野なおさん。友野さんはデジタル漬けによる心身への影響も指摘する。
「『いいね!』やメッセージの返信で睡眠時間が削られる。他人のSNSを見てストレスを感じネガティブ思考に陥る。スマホを夜遅くまで見ることで、心身がリラックスできていない人が増えています。就寝30分前からはスマホを見ないようにするのが理想的です」
デジタル機器、特にスマホに触れるのが日常化していて、なかなかやめるのが難しいという人も多い。どんなことから始めたらいいのか?
「まずはベッドに持ち込まないこと。それができたら就寝5分前から、10分前からというように、スマホから目を離す時間を徐々に長くしてください」
スマホのアラームを目覚ましにしている人は時計を使う。電車やバスで通勤している人は帰りの車内で返信や翌日のスケジュール確認を済ませる。
「ぐっすり眠ることで脳や全身の筋肉がリラックスして、心と体の疲れがリセットされます」
友野なお(ともの・なお)さん●睡眠コンサルタント。SEA Trinity代表取締役。睡眠の改善による健康寿命の延伸を推進している。『大人女子のための睡眠パーフェクトブック』(大和書房)など著書多数。
デジタルへの触れ方を見直して、思考力、集中力にも変化が。
昨年春に転職、現在は登山系のウェブメディアで編集者として活動する村岡利恵さん。デジタル漬けの生活を見直すきっかけとなったのは、急激な視力の低下だった。
「雑誌からウェブの編集にキャリアチェンジして約5カ月で、視力が1.2から0.4に。ブルーライトカットレンズなども試しましたが、仕事でPCを約8時間使ううえに往復3時間の通勤中もスマホ画面を見続けていたことが一番の原因だと考えました」
そこで、スマホの使用時間を大幅に減らした。行きの電車は座れるので読書の時間にあてる。ネットショッピングやニュースのチェックは帰りの電車内で済ませ、帰宅したらすぐにスマホの電源を切って、朝まで充電器につないでおく。
「一日にどれくらいの時間をデジタル漬けで過ごしていたのか、具体的な数字を洗い出したことで、スマホから離れることを意識できるようになってきました」
デジタルデトックスを実践したおかげで、物事をじっくり考える余裕もできた。
「スマホを眺めていると次から次へと流れてくる情報をついタップしてしまい、集中力が続いていなかったような気がします。今は仕事もプライベートも落ち着いて取り組めるようになりました」
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