50代での起業はアリ! 女性の起業を応援するプロ集団が後押し。
撮影・山本ヤスノリ 文・知井恵理
尾久陽子(おぎゅう・ようこ)さん
●行政書士。おぎゅう行政書士事務所代表。演劇活動、保育士を経て行政書士へ。キャリア35では法律手続きの相談を担当。天然キャラで愛される人情派リーダー。
氏家祥美(うじいえ・よしみ)さん
●ファイナンシャルプランナー。お金の相談事務所「ハートマネー」代表。著書に『いちばんよくわかる! 結婚一年生のお金』(学研プラス)。キャリア35でもお金の悩み相談を担当。冷静沈着。
楊 典子(よう・のりこ)さん
●中小企業診断士。経営コンサルティングを行う「五葉コンサルティング」代表取締役。キャリア35では経営相談を担当。相談者の話を聞き、実践策を提案する参謀役。
様々な年代の女性が相談に来る、法律・お金・経営のプロ集団「キャリア35」のメンバーに、収入を得られる女性の条件や実例を聞いた。50代女性の起業に必要なのは、3年の苦労?
尾久陽子さん(以下、尾久) キャリア35のメンバーは、行政書士、ファイナンシャルプランナー、中小企業診断士などの資格を持っていて、実は全員起業家なんです。私自身がいろいろと職を変えながら、やっと起業したときに経験した苦労をふまえて、女性がもっと気軽に相談できる場所を作ろうと、メンバーを探して立ち上げたんです。
氏家祥美さん(以下、氏家) 私は、ファイナンシャルプランナーとして起業した後の仕事のペースが極端に上がってしまって、家事や子育てに苦労したという自分の経験が誰かの役に立てばと参加しました。尾久さんが私を選んだ理由が「人柄が良さそう」というのは意味がわからなかったんですが(笑)。
楊典子さん(以下、楊) 私も、尾久さんと共通の知り合いから、「性格の良さそうな人を探してるみたいだから、あなたぜひ協力してあげて」って言われて、なぜか参加することに(笑)。
尾久 もう一人のメンバー、バングラデシュ在住の土川(雅代)さんも人柄採用。だからキャリア35は10年も続いてるんです(笑)。ところで、うちのセミナーや相談会では、50代で起業を希望する女性が増えてますね。
楊 たしかに。2014年の『中小企業白書』では、2007年から2012年にかけて50代以上の起業希望者と起業者の数が増加。総務省の『平成29年就業構造基本調査』を見ると、5年前と比べて女性の起業者数が1.4%上昇しています。2つのデータから、世間全体で50代女性の起業希望者が増えている、と言えるんです。
“個人の起業については、昔よりハードルが下がったのは確か。”
50代起業の成功例の共通点は、「これがやりたい」という意思。
尾久 子育てが終わって自分の人生に目が向くのが50代。「このまま終わりたくない!」ってセリフ、よく聞く。
氏家・楊 本当に多い!!
氏家 なかには「何をしたいかわからないけど、起業したい」という人もいて。話した結果、情熱を持ってやりたいことが見つからず、起業をあきらめる人が多いというのも厳しい現実……。
楊 その一方で、個人事業に関する規制緩和や、SNSの発達のおかげで、個人の起業はハードルが下がっているのも確か。きっかけさえあればできるし、やった人だけが成功できるの!
尾久 「自分のやりたいことを、老後に始めたいから」と起業した人がいたっけ。50代半ばで社会福祉士の資格を取って独立して、60代の今は、趣味の津軽三味線にも没頭してるという。
楊 自分の母親のために作った水着が評判になったのがきっかけで、高齢者専門の水着製作・販売業を立ち上げた例もありましたよね。自分の希望をいったん置いておいて、流れに身を任せたらすんなり起業できたという例も。
尾久 「男女の出会いの場の提供を仕事にしたい」と希望していたのに、最終的には、小物などの売り場となるショーケースを貸し出すレンタルボックス業にたどり着いた人ね。
氏家 地元の小中学校の指定体操着の販売権も委譲されて、なかなかいい収益を上げてたんじゃなかった?
尾久 出会いの場づくりから体操着販売って、すごいギャップに思えるけど、人をつなぐ場の運営という意味では似た部分もあるから、充実してるみたい。
氏家 結局、起業に成功する人は「これがやりたい」という意思がある!
楊 起業するためにできることをとことん考えるから。逆になかなか起業できない人は、できない理由を探す、という残念な落とし穴にはまってしまう。
“資格は独立への近道、ではない。経験や実績に繋げてこそ。”
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