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青木さやかさん「私の出費、何がムダ?」。出費のクセに潜む、節約の敵とは。

家計の無駄をカットするなら、何から手をつける?  迷える読者代表の青木さやかさんが専門家にぶっちゃける。お金の使い方の傾向がわかるチェックリスト付き!

撮影・青木和義 イラストレーション・イオクサツキ 文・板倉みきこ

お金に対して、漠然とした不安がいつもある気がします。(青木さん)
不安を消すには、お金の流れをしっかり把握することです。(八ツ井さん)

(左)八ツ井慶子さん 家計コンサルタント(右)青木さやかさん タレント、女優
(左)八ツ井慶子さん 家計コンサルタント(右)青木さやかさん タレント、女優

住宅ローンや生命保険の見直し、資産の運用方法など、家計を見直すためには様々な知恵やテクニックがある。でもこうした手法よりも大事で、より効果が上がるのが「正しいお金の使い方」を身につけること、と家計コンサルタントの八ツ井慶子さん。

「どんな正しい手法があっても、お金の使い方が正しくなければ、その効果は帳消しにされてしまうからです」

そこで今回、漠然としたお金の不安を抱えつつ、何をどうしたらいいのか皆目見当がつかないというタレントの青木さやかさんに、八ツ井さんの「正しいお金の使い方講座」を読者代表として受けてもらうことに。

八ツ井慶子さん(以下、八ツ井) 無駄を調べるには、固定費、流動費などお金の流れを把握するとわかりやすいですが……。まずは、青木さんのお金に対する一番の悩みを教えてください。

青木さやかさん(以下、青木) よくわからない不安感でしょうか。住宅ローンを完済できるのか、貯金を取り崩してでもローンを返済し、スッキリしたほうがいいのか。何をどうすればいいのか、お金のことは全然わからなくて。

八ツ井 貯金はどのようにされていますか? 積み立てとか、運用?

青木 私、積み立てみたいな貯金をしても、結局使っちゃうんです。おっ、あるな〜と思って。だから、自分の手の届かないところにあったほうがいいと、金融の知識がある知人に相談し、運用をしてはいるんですが……。

八ツ井 ですが……?

青木 以来、どうなっているかを確認していないんです。

八ツ井 いやいやいや。そこはちゃんと確認しましょう(笑)。今、どれくらいの額でどのような状況か、現状を定期的に確認しないと。ご自分の大切な財産なんですから。

青木 そのとおりですね。

八ツ井 では住宅ローンは毎月いくらで、後何年で完済するんですか? 保険はどんな種類のものでしょうか?

青木 え〜と、わからないです(笑)。すみません、本当に。

八ツ井 いえいえ大丈夫ですよ。銀行や保険会社に聞いてみましょう。

ーーここで八ツ井さん指示の下、青木さんが各社に問い合わせて詳細が判明。

八ツ井 購入時にしっかり頭金を入れていたとのことで、住宅ローンはとても堅実な設定でしたね。保険も一括で払う貯蓄型で、この先の支出の変動を押さえた安心感のある組み方です。ただ、貯蓄を目的とした長期契約なので、それは保険会社が存続することが前提。万一破綻することがあれば、約束された保険金が減額されることもあり得ます。保険金がいくらになるかは破綻してから計算されるので、現状わかりません。できれば、日頃から経済関連のニュースや契約した保険会社のニュースには、関心を持っておきたいところですね(※1)。

青木 ニュースは〜、きっと見ない気がしますが(笑)。これを機に、もう少しお金に関わることを気にかけるようにしますね。ところで、住宅ローンは運用している資金を回して、今すぐに完済させたほうがいいですか?

八ツ井 今、日常的に使用している銀行口座は毎月どんな感じですか?

青木 よくわからないけれど、入った分は使っちゃう感じ。さっき銀行の人に聞いたら、先月は数万円赤字でした。

八ツ井 では、貯金の多くを使ってしまうのは不安ですね。やめましょう。借り入れ金額も金利も妥当だし、残り数年で完済するから、無理せずこのままローンを続けましょう。いわゆる固定費の払い方は、とても身の丈に合った堅実な設定だと思いますよ。

青木 そうなんだ〜。よかったです。全然内容を知らなかったけど(笑)。

 “お金の流れは見ない、知らないと  距離を置いていましたね。”
“お金の流れは見ない、知らないと 距離を置いていましたね。”

お金を正しく使いたいなら、まず 収入、支出、貯蓄を把握すること。

八ツ井 お話を伺って、青木さんはお金を見ないようにしている、お金と距離を置いているのかなと感じます。

青木 確かに、見ない、知らない、わからない、ですね。通帳記入したこともほぼありません。買い物はほとんどカードですが、いくら使っているのかも全くわからないレベルなんです。

八ツ井 お〜、それはなぜですかね。

青木 だって、誰も計算してくれないし(笑)。数枚持っているので把握しづらいから、明細もほぼ見ていません。

八ツ井 お金を正しく使うための基本は、把握することです。お金を貯めるのが苦手な人は、自分の「収入、支出、貯蓄」の3つの額を大概把握していません。この3つは、一生涯続くお金の流れですから、きちんと知っておきたいところ。把握することでお金に対する“気づき”も得られます。特に、青木さんは毎月の収入に変動がある仕事ですから、なおさらですね。

青木 は〜。でもね先生、銀行口座がいくつもあって面倒なんです。住宅ローン、子どもの学校、マンションの管理費、相手の指定する銀行に口座を開いていたら、もう把握しきれなくなっちゃって。残高不足、引き落とせないと連絡がくることもけっこうありますね。

八ツ井 確かに、そうなると口座管理は煩雑になりますね。それぞれ口座ごとに「引落日」が異なるでしょうから、うっかり間に合わなくなることもあるかもしれません。そこで、全ての口座に常に1カ月分は余分に入金しておいてはいかがでしょうか。そうすれば引落日を気にせず、入金の手続きも、たとえば月1回、日を決めてまとめて行うことができます(※2)。

青木 なるほど。複数口座があっても、一度に済ませればかなり楽ですね。

八ツ井 でも今の青木さんは、もっとお金と向き合うことが大事。たとえば、月1回程度の口座管理は、お金と触れ合ういい練習になるかもしれません。お金の流れを知り、今より身近に感じるようになれば、お金と上手に付き合う方法が身につくと思います。今は、お金はよくわからないもの、不安なものという気持ちがとても強そうです。

青木 だって不安ですよ。子どもにかかるお金のこと、子どもが自立した後いくら貯金があればいいかとか。でも、たとえ1億あっても不安かも……。

八ツ井 そうですね。今後いくらかかるか、ある程度シミュレーションはできますが(※3)、人生に想定外はつきもの。不安をなくそうとするより、自分ができることに目を向けたいですね。

“お金に触れる機会を増やせば、もっと上手に付き合えますよ。”
“お金に触れる機会を増やせば、もっと上手に付き合えますよ。”

※1 固定費となる保険の支払いやローンの組み方は、商品数、バリエーションが多彩なので、素人が見直すのは難易度が高い。現状を把握するのは大事だが、家計のためにきちんと見直したいなら、プロに相談するほうが適切な場合も。
※2 青木さんはパソコンを使わないということで割愛したが、所有の銀行口座のインターネットバンキングを開設して、ネットで残高の管理をするのも一案。わざわざ銀行やATMに赴く必要もなくなる。
※3 今後5〜10年にまとまった資金がいる予定(子どもの進学や結婚、車の買い替えなど)を書き出し、それぞれの予算額を算出してみる。そこで、今からどの程度のペースで貯蓄していくといいかがある程度見えてくる。

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