ポルトガル、ご当地サンドイッチ紀行。【クロワッさんぽ】
今回、ポルトガルを歩いたのは……。
のぐぽん
『クロワッサン オンライン』ディレクター。趣味は旅行で一人旅派。『キャンディ・キャンディ』や『トーマの心臓』などの少女マンガの影響か、海外旅行はヨーロッパ方面が特に好き。国内旅行で好きなアクティビティは大自然満喫もしくは史跡めぐり。最近、カメラ熱が復活し、一眼レフを小脇に飛び回っております。
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お正月休みにポルトガルに行くんだ、と話を振ると、よく言われたのが「いいなぁ、食べ物美味しそう!」。
スペインやイタリアなど「美食」のイメージが強い南欧に位置し、日本と同じくお米や魚をよく食べる国に旅するんですもの、そりゃ、食への期待値、高まりますよねぇ……ということで、今回は、私がポルトガルで食べて一番心に残った、おいしいものをご紹介。
訪れたのは、ポルトガル北部にある国内第二の都市「ポルト」。ポートワインでその名を世界に知られ、その歴史ある街並みが世界遺産にも登録されている美しい古都。最近では、J・K・ローリングがかつて暮らし「ハリー・ポッターシリーズ」の着想を得た地としての人気も上昇中。彼女が通った場所は大行列の観光名所になっていたりします。
干し鱈(バカリャウ)を使った料理や、タコ料理、魚介のリゾットなど、海の幸を使った名物料理が多いポルトガルですが、今回もっとも感銘を受けたのは、実は肉を使ったサンドイッチ。
中でもイチオシなのが、薄切りの豚肉をたっぷりサンドした「ビファーナ」というB級グルメです。
向かったのは、ポルトッ子たちが「ビファーナの名店といえばあそこしかない!」と口を揃える1976年創業の『コンガ(CONGA)』。街の中心部にある小さな店は、昼時にはいつも大行列です。
こちらがそのビファーナ。パプリカなどを混ぜた特製のソースで煮込まれた薄切り豚肉を挟んだ、ポルトガル全土で食べられる名物グルメですが、『コンガ』のソースはとても複雑な味でスパイシー。どうやら、一般的なレシピではない特製ソースなんだとか。
極限まで薄くスライスされた豚肉がたっぷりとソースをまとっているというのに、パンに挟んだ後に、まるで牛丼のつゆだくのごとく、お玉一杯分くらいのソースをびしゃっと追いがけ。見た目も作り方も何とも豪快なサンドイッチなのです。
頬張ってみれば、特製のバンズに挟まれた豚肉は、今まで食べたことのないレベルでふんわり、やわやわ。スパイシーでうまみたっぷりのソースがジュワーッと口の中に広がり、思わず「うまっ!」と声が出てしまうレベル。特製ソースで長時間煮込まれた豚肉は脂分が抜けるのか、想像よりもずっとさっぱり。ハンバーガーサイズなら、二つくらいはペロリといけそうです。
今思い出してもお腹が鳴る絶品サンドイッチ。これを食べるためだけに旅してもいいかも、ぐらいに忘れられない美味しさ。
せめてもの思い出にと、お店で売られていた『コンガ』特製「ピリピリ」(唐辛子)を自分へのお土産にゲット。あの味が恋しくなったら、いつものサンドイッチの具に一振りしてみようと思います。
続いてご紹介するご当地サンドイッチは、ポルトガル中部の名物グルメ、仔豚の丸焼き(レイタオン・アサード)を使った一品。
ワインセラーが並ぶポルト屈指の人気エリア、ガイヤ地区にあるフードコート「メルカード ガイア(Mercado GAIA)」内の『レイタオン ドウゼ(Leitao do Ze)』で味わえると、ポルト在住の日本人夫婦に教わって足を運んでみました。美味しいと評判なんだとか。
ふんわりやわやわだった『コンガ』のビファーナとは対照的に、こちらにサンドされた豚肉は、プリップリの歯ごたえ。弾力のあるボリュームたっぷりの肉はカリッと香ばしい皮もいいアクセントで、ふんわり軽くさっぱりとした白パンとの相性もバッチリです。こちらも美味しい!
最後にご紹介するのは、ポルトガルというよりポルトのご当地グルメ「フランセジーニャ」。
フランスの名物クロックムッシュのポルトガル版とも言えるサンドイッチで(「フランスの女の子」という意味らしい)、ハムやステーキを挟んだサンドイッチにチーズとトマトソースをたっぷりかけたものが一般的。とはいえ、本場ポルトでは日本のラーメンみたいなもので、店によって味もさまざまなんだとか。
ポルトを訪れると、カフェからレストランまで、多くの飲食店のメニューに「フランセジーニャ」がスタンバイしているので、ぜひ自分好みを探してみてはいかがでしょうか。
今回紹介した中では、もっとも「どっしり」感があるサンドイッチ。味も濃厚な上に、厚切りパンを使っているので量も多い。お腹をぺこぺこにして挑戦しても女で一人前を完食するのは大変かもしれません。
ホテルのアフタヌーンティーに添えられるような、薄切りキュウリが挟まったキリッと四角い上品なサンドイッチはついぞ見かけなかったポルトガルの旅。豪快で飾らない、具だくさんのご当地サンドイッチは、ポルトガルという国そのもののキャラクターのようにも感じます。
もともと肩の凝るきちんとしたレストランより大衆食堂のほうが好みというのもあるけれど、一人旅だと、着席していただく食事より、地元の人たちと肩を並べてわいわい楽しむ立ち食いグルメのほうがずっと心に残るもの。カウンター越しに「おいしい?」と声をかけられたり、隣の人に食べ方を教わったりと、その時だけは、異邦人である私も、ひととき仲間に入れてもらえたような親密な気分になれたんですよね。
ポルトガルの名物グルメの中では、知名度はそれほどでもないけれど、素朴で気取らないご当地サンドイッチ、本当におすすめです!
(クロワッサンオンラインディレクター のぐぽん)。
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