魚、自然、北陸の神秘、富山の休日。
撮影・青木和義 イラストレーション・おおさわゆう 地図製作・竹中聡司
“寒ぶり宣言”を訪ねて、いざ、氷見線に乗らん。
冬の名物、寒ブリを食べに氷見へ。太ったブリが獲れるようになると、地元の漁協は“ひみ寒ぶり宣言”を出す。
「水揚げされた、一匹、一匹に認証番号の札が与えられるんです」(『ばんや料理ひみ浜』店主・宮川暢充さん)。
ところで、海岸沿いを氷見に向かう電車では、ぜひ雨晴駅で途中下車しよう。晴れていれば、海と山の織りなす絶景、というより奇観を見ることができるから。海の水平線の向こうが空ではない、なぜ連峰が……。
で、氷見である。『ひみ漁港場外市場ひみ番屋街』で鮮魚店やおみやげ店をのぞいたら、いよいよ、お目当てをいただきに。前出の『ばんや料理ひみ浜』は先代が漁師でもあった有名店だ。
「寒ぶり宣言には6キロ以上の個体という基準がありますが、うちは基本10キロ以上しか扱いません」
と宮川さんは胸を張る。
「氷見一番のブリはウチにあります」と強気の発言も、なるほどこちらのぶりしゃぶを食べると、天然の脂の甘味にそれまでのブリ観が覆される!
さてさて、水平線の向こうに山がそびえているのは地形「湾」であるからだが、しかしカメラに写った岬の突端(上写真2枚目)は、よくよく見れば海から浮いてない? やはり、奇観か……。
雨晴海岸(あまはらしかいがん)
富山県高岡市太田 JR雨晴駅より徒歩5分。富山湾越しに見る3000メートル級の立山連峰の美しさは万葉集にも詠われた。
ひみ漁港場外市場 ひみ番屋街
富山県氷見市北大町25-5 JR氷見駅からタクシーで5分。漁港直送の魚や加工品を扱う33の専門店、飲食店が集結。
ばんや料理ひみ浜
富山県氷見市比美町21-15 TEL.0766-74-7444 JR氷見駅からタクシーですぐ。
www.himihama.com 予約して出かけたい。
埋没林と蜃気楼と。富山のパワースポット探訪。
ところ変わって、こちらは魚津。駅舎の壁にはこんな宣伝が掲げられている。“魚津の三大奇観、蜃気楼、ほたるいか、埋没林”。
その埋没林と蜃気楼を確かめるべく『特別天然記念物 魚津埋没林博物館』へ。巨大な木の根っこが、巨大なプールに沈められている(上写真)。
「沈めたのではなく、根っこのあった場所に合わせてプールを作りました」と、同館の管理係長・石須秀知さん。
推定樹齢500年、埋没して2000年の巨木が、腐らずに地中に眠っていたのは、土や地下水など天然の保存環境がそろっていたから。ということで、プールの底は、泥、土のまま。
そしてこちらは、日本屈指の蜃気楼観測の地でもある。
「気候や海水の温度、風などの条件が満たされると観測され、ピークはゴールデンウイークあたり」という石須さんに、右ページの浮いた岬の写真を見せると、ああ、これもその一種ですよ、と!
特別天然記念物魚津埋没林博物館(うおづまいぼつりんはくぶつかん)
富山県魚津市釈迦堂814 TEL.0765-22-1049 JR魚津駅からタクシーで5分。
www.city.uozu.toyama.jp/nekkolnd
『クロワッサン』1012号より
広告