準備に多くの時間と体力を使った展覧会が終わってしまった。暫くの間、この展覧会のために全てを捧げ、その全てが結実した展覧会を開催できたことは、最高の幸せではある。しかし同時に、展覧会の無事終了は、深い寂しさが襲う。そして、新しい次の一歩を踏み出すことを強要されるような、逃げ出したくなるような状況だったりする。そうそう、この気持ち。毎度コレが襲ってくることを今やっと思い出した。
制作の最後はやりきった爽快感に包まれ、その余韻に暫く浸るけれど、ずっと浸っているわけにはいかず、もういい加減重い腰を上げないと、という感じで何かを改めてスタートしようとする。そのとき、すべての自信は喪失し不安しかない。今までやってきた経験が自分に自信をあたえるわけでもない。
今、取り掛かろうとしている新しい課題に対するアイデアを偶然得られたとき、やっと仕事を全うできる自信が湧いてくる。その偶然に出会うまで、かなり深いところに潜っている。そこが今の私がいる、定期的に落ち込む最下層の部分。最上部の展覧会終了という点から、余韻に浸りながらも比較的短時間で最下層へ急降下。その落差が大きいほど、見渡していた世界は広いように感じられる。思えば、中学生や高校生の頃は、やりきった爽快感なども未経験で、自分の最下層ももっと深いところにあったなぁ。落差はそれほどなかったから、最上部もかなり低い位置にあって、以降の自身の活動で幾度となく頭を打ち付けながら、上のラインを押し広げていったのだと思う。
これからの人生においては、あの中・高生時代に落ちた層より更にもっと深いところにも行くかもしれず、怖い。今から考えても仕方がないけれど、今まだ体力のあるうちに落差をできるだけ拡大しておけば、深い深いところから這い上がる筋力も鍛えられるのだろう。高低差を大きくするために、できれば今いる最下層からの跳躍を最大限に引き上げて、上へ拡張させたい。