丸岡 夫が収集しているものに対して、なぜそれが必要かこちらが納得せざるを得ない正論があればいいですけど、納得できない場合はどうするんですか。
黒川 モノを所有する理由を整然と説明できなくても、個人にとっての大切さは同じです。男性は特にモノをコンプリートしたいと考えるタイプ。一つの世界観を網羅して安心するんです。どんなものであれ、それはその人を表現するもの。モノをどういうふうに持つかは、どういうふうに人生を送るかと同義なので、相手の世界観を理解してあげるしかありません。
丸岡 置けるスペースの大きさによっても違いはあるとは思いますが。
黒川 いえ、どんな大きなお宅に住んでいても、夫婦間のモノトラブルは必ず
起きます。そもそも、モノの量がどのくらいだと心地よいかは個人差があります。ただ、モノで動線がふさがっているとストレスが溜まりますし、目の端に余分なものが入っただけで、空間認知力が乱れ、脳に悪影響を及ぼします。私の場合、ある日仕事がまったくはかどらない
ので、理由を探したら、小さな皿の上に大きな皿がのっていた不安定な状況が目に入っていたからだ、と気づいたことがあります。自分の所有するもの、その扱い方が相手に悪影響を与えていることもあると、家族全員が認識できるといいですね。モノのトラブルを軽減するには、お互いを尊重し、頭を使うしかありません。ただ、根底に愛のある関係なんですから、空間を含めてその人らしさを愛することも大事だと思います。
有村 そうですね、納得です。