くらし

夫婦・家族・オフィス…における「モノ」による「ハラスメント」に注目!新たな問題、「モノハラ」について考える。

  • 撮影・中島慶子  スタイリング・佐藤英恵(DRAGON FRUIT/丸岡さん)  ヘア&メイク・芳野史絵(丸岡さん) 文・板倉ミキコ

お金と空間を侵略されたと感じると、相手への怒りが湧いてくるもの。

黒川 相手のものについて問題に感じたり、揉めることはありますか?

有村 僕は基本、自分のテリトリーが管理できていれば、他人のことには口出ししないタイプですが、整理整頓が細かすぎる、と妻に言われることが。評論という仕事にも通じる部分なので、仕方がないのかな?と思います。

お互いが納得する境界線を作るのは、かなり難しい問題ですね。(丸岡さん)

丸岡 彼が映画に出ていた高額の車をいきなり買っていたり、驚かされることはあるんです。ただ、もともと車好きと知っていたし、仕事にも関係するし……。それに、彼から趣味を取り上げてしまうのは、かわいそうかな、と。

黒川 理解がありますね。一般的に夫婦で財布が別、というのも怒りが湧かないポイントになると思います。

丸岡 はい、我が家は基本別になっています。確かに、共有財布から夫に高額なものを買われたら怒りますね。

黒川 怒りは、自分の何かが痛む、侵食されるときに湧くんです。モノから生まれる怒りは、お金とパーソナルスペースが侵されるから、ハラスメントに感じるのでしょう。たとえば、専業主婦の方でお財布を握っていて、夫にお小遣いを渡す立場だったりしますよね。妻がお金を支配している立場。その場合、夫が何か予定外のものを購入すると、勝手に使われた、と怒りが湧きやすいのではないかと思います。

丸岡 よくわかります。それでは、スペースはどうなんでしょう

自分の心地よさを理解してもらえるよう、よく話し合うことが大事。(黒川さん)

黒川 ここからはみ出さないで、とルールを決めるしかないですね。我が家も3つあるクローゼットは全て夫と共有で、半分のところに線をつけて使用しています。私のほうがモノを増やす傾向なんですが、夫の言い分を受け入れ、納得する点もあったので、このルールに落ち着きました。いかにお互いが納得できる境界線を見つけるかは、話し合うしかないですね。

有村 お互いのテリトリーを尊重するのは、共同生活の基本ですもんね。

丸岡 我が家はけんかにはなっていませんけど、夫のスニーカーには困っています。私の靴を置くスペースがどんどん侵略されているんです。

有村 うん……。それは申し訳ないなとは思っていますよ。

丸岡 60足ほどあるので、私の靴の上に彼の靴がのっていたりします。

黒川 それはストレスですね。我が家も、息子が一人で暮らしていたスペースに、お嫁さんも加わったので、モノが溢れてカオス状態です。少しずつ息子のものが私のスペースに置かれるようになってきています。

有村 それはイライラしませんか?

黒川 不思議と、息子のものはしないんですよ。例えば、私のワンピースの上に息子の洋服がバサッて置かれてあっても仕方ないな〜って感じですが、夫のネクタイがちょっとかかっているだけでムカッとするのに(笑)。

丸岡 わかる気がします。私の靴の上に、夫のではなく1歳半の子どものスニーカーがのっていたら、かわいいな、と思うだけのような気がします。

黒川 それがね、小さいからじゃないんですよ。今、息子の足のサイズは29cmですけど、それでも全然腹が立ちませんよ。夫の26cmの靴のほうが腹が立ちます(笑)。“息子は自分”なんです。だから頭にこないんですね。

丸岡 なるほど。

黒川 それは生物学的にも説明できます。もともとメスのほうが生殖リスクが高いので、基本オスに対して防衛する、イラッとするスイッチが脳の辺縁系にあるんです。遺伝子の相性を見て、この相手なら、と思ってスイッチを切らないと生殖に至りません。スイッチを切った状態が続くのは、その生殖に必要な期間なので、人間だと2〜3年。この時期はあばたもえくぼで何でも許せますが、その後は自分のテリトリーや子どもを守るため、夫に対してもイラッとするのは自然の流れ。もちろん、他の男性に比べたら夫は許容できる相手ではありますが。

丸岡 そうですね。夫がやることなすことかわいいと思えた、結婚当初と今は違いますね(笑)。でも、彼は私が提案したことは取り入れてくれるので、とても助かっています。

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