今さらすぎて、なかなか聞けない!? 2019年版・お金の常識Q&A。
文・生島典子 イラストレーション・山口正児
[保険Q10]親から相続するのは実家と少しの貯金だけ。相続税はかかりませんよね?
A.実家の土地の評価額を調べて判断しましょう。
国税庁のホームページにアクセスして実家の路線価を調べます。路線価に土地の面積を掛けて評価額を出し、それに親の貯蓄額を足して相続税評価額を出します。相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)と比べて多ければ相続税がかかる可能性があり、少なければないと判断できます(※)。路線価が設定されていないときは、納税通知書に表記されている固定資産税の評価額で見ます。
自宅の土地の評価額の出し方
《市街地》
路線価方式 1㎡あたりの路線価×敷地面積
たとえば、路線価が20万円で敷地面積が
100㎡の場合、20万円×100㎡=2000万円
《市街地以外》
倍率方式 固定資産税評価額×評価倍率
たとえば、固定資産税評価額が800万円で
評価倍率が1.1の場合、800万円×1.1=880万円
※実家で親と同居していれば、小規模宅地等の評価減の特例が適用され、評価額がかなり下がる。
[保険Q11]住宅ローンは、できるだけ繰り上げ返済したほうがおトク?
A.繰り上げ返済をするかどうかは、教育費とセットで考えましょう。
繰り上げ返済自体はいいことなのですが、繰り上げ返済をして返済に自信がついて教育ローンを借りてしまう人がいるので、要注意です。繰り上げ返済をしすぎて教育費が足りなくなる事態は避けましょう。今は少額から手数料無料で繰り上げ返済できる銀行も増えているので、1万〜10万円単位でこまめに繰り上げ返済をして、やりすぎたなと思ったら控えることも大事です。繰り上げ返済の実行は、教育費が足りるかどうかと常にセットで考えましょう。
[保険Q12]親が亡くなったら、銀行口座のお金はすぐに引き出せないの?
A.基本的に口座は凍結。最近では、預貯金の払い戻しが可能に。
銀行口座の名義人が亡くなった場合、基本的に口座は凍結され、誰が何を相続するかがはっきりするまではお金が引き出せません。しかし、それでは遺族が困るので、法律が改正されて、2019年7月1日からは、相続人全員の同意がなくても、遺産分割前に一定額までの預貯金の払い戻しが受けられるようになりました。また、銀行によっては一定額までならすぐ払ってくれる制度を設けている場合があります。口座がある銀行に相談してみましょう。亡くなったあとの口座解約の手続きは煩雑なので、生前にある程度口座を整理しておくと遺族の負担が減ります。
[保険Q13]夫が亡くなったら、自宅も売却して財産分与しないとダメなのですか?
A.妻には自宅への居住権が与えられるようになりました。
夫が亡くなったあと、妻が自宅を相続できない場合は、住み慣れた家から出て行かなければならない状態になることもありました。そこで法律が改正されて、配偶者に居住権が保証されることになりました。これによって、自宅を他の相続人が相続した場合でも、亡くなった人の配偶者は、自宅に引き続き無償で住むことができるように。また、これまでは妻が自宅を相続すると、現金は他の相続人が多めに相続するケースもありましたが、家を相続してもなお、妻に有利な相続ができる可能性が出てきました。
『クロワッサン』1002号より
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