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Vol.59 コレステロールを下げる薬を飲んでいますが、数値が変わりません。【40歳からのからだ塾WEB版】

更年期を過ぎて、「だんだんコレステロール値が上がってきた」「健診でLDLコレステロール、中性脂肪を指摘されることが増えた」という人はいませんか。女性は、閉経前後くらいから、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪が増加しやすいとよく言われます。これは、コレステロールの代謝などに関わる、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が低下することが原因とされています。更年期以降、数値が上昇するのは、女性の体の自然な変化ともいえます。

しかし、その一方で、加齢や女性ホルモンの影響とは別に、コレステロールの数値が増えてしまう病気があることは、あまり知られていません。今回は、「コレステロール数値が高く、薬を飲んでいるけれど、良くならない」という場合に知っておくと役立つ病気のこと、検査のことなどをお伝えします。解説は、横浜市立大学附属病院 内分泌・糖尿病内科 教授で医師の寺内康夫さんです。

文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子 図・坂本康子

甲状腺ホルモン剤で治療すれば
コレステロール値も正常に

では、甲状腺ホルモンと血液中のコレステロールの量とは、どのような関係にあるのでしょう?

「甲状腺ホルモンが不足すると、体全体の代謝が低下します。当然、脂質代謝も低下するため、血液中のコレステロールや中性脂肪の量が増えていきます。この病気が原因だとすれば、治療法を変えなくてはいけません」と寺内さん。

コレステロール値が高く、脂質異常症の治療を受けているのによくならない場合は、主治医に相談し、内科で血液検査を受けましょう。

血液検査で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、フリーT3、フリーT4といった項目を調べると、ほぼ診断はつくそうです。

「診断がついたら、抗コレステロール薬を中止し、代わりに甲状腺ホルモン剤を服用します。数カ月から半年程度服用すると、ホルモンが安定し、症状が軽快していきます。血中コレステロール値も正常範囲になっていくと考えられます」(寺内さん)

薬は一生飲み続ける必要がありますが、ホルモン値が安定すれば、薬の量を減らしながら、日常生活が送れるそうです。
甲状腺の病気は、更年期や加齢に伴う症状とも似ているため、見逃さないように注意が必要です。

最後に、甲状腺の病気でよく見られる症状をまとめました。
症状が複数当てはまる場合や治療を受けていても症状が治らない場合には、一度、甲状腺機能検査を受けましょう。

甲状腺の病気によって起こる症状。

症状が複数当てはまる場合や治療を受けていても症状が治らない場合には一度、甲状腺機能検査を受けましょう。
症状が複数当てはまる場合や治療を受けていても症状が治らない場合には一度、甲状腺機能検査を受けましょう。

資料提供:寺内康夫


ご協力いただいた医師
寺内康夫さん 横浜市立大学附属病院 内分泌・糖尿病内科 教授・診察科部長
てらうち・やすお●東京大学医学部医学科卒業。同大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科などを経て現職。糖尿病領域での受賞歴多数。糖尿病療養指導士認定機構理事長も務める。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

ライター、メノポーズカウンセラー 及川夕子
更年期、まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法も試してみたい!

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