きちんと食べて、正しく眠る。それが痩せやすい体をつくるコツ。
撮影・岩本慶三 文・寺田和代
睡眠上手は寝返り上手、綿か絹のパジャマがベスト。
湯山 そのためにどんな工夫を?
友野 まず以前はフリースなどの部屋着のままベッドに入っていたのを、ちゃんとパジャマに着替えるようにしました。それだけで?と意外に思われるかもしれませんが変化は劇的でした。というのも睡眠上手って寝返り上手な人。つまりパジャマを着ている人なんです。スウェットやネグリジェでは衣服と寝具の間に摩擦や絡み合いが起きて寝返りが妨げられます。個人差はありますが、寝返りは一晩に平均20〜30回打ちます。血流の促進や筋肉をほぐすなど睡眠の質や健康な体の状態を維持する役割が凝縮された動きです。多くの人は洋服にお金をかけても寝るための服には無頓着になりがちですが、むしろいちばん投資してほしいウェアです。
湯山 出張先で眠れない理由のひとつはパジャマが合わないことにあるかも。
友野 パジャマだけは旅先に持参するのも手かもしれません。自分になじんだパジャマは眠りのスイッチを入れる、という睡眠儀式としてとても有効です。さらに、細かいことですがパジャマの素材は綿か絹がお勧めです。眠るためにこれから買うという人には吸汗性や保湿性がすぐれた綿。私自身は絹がベストです。美肌効果があるシルクプロテインの働きで、背中の皮膚疾患がいつの間にか消えました。パジャマひとつで睡眠時間をダイエット、美容、健康増進の時間に変えていけます。
湯山 パジャマを買って帰ろう(笑)。
友野 湯山さんのお悩みへの解決案に合わせて、寝つきを良くする、睡眠の質を上げる工夫についてお話ししましょう。まず、横になって30分しても眠れない時は一旦ベッドを離れてください。横になるだけでOKと言われてきましたが、眠りたいのに眠れない経験が重なると次も、と不安が増幅されがちです。
湯山 すでにその状態なので、いっそ出張先でのホテルを変えようかな……。
友野 それもひとつの手だと思います。あと、簡単なのはスリープセレモニー(睡眠儀式)です。五感に働きかけ、これをすれば眠くなるパターンを脳と体に刷り込ませる。眠りのおまじないと考えてください。たとえば嗅覚ならアロマセラピー。ラベンダーには睡眠を促す効果が認められています。ピローミストなら持ち運びも可。自宅と同じラベンダーをホテルの枕にシュッシュッと吹きかければ、家で安心して眠るのに近い感覚が得られます。
湯山 自分の枕カバーの匂いって安心しますね。仕事に疲れて仮眠したい時、枕に顔を埋めるだけで眠くなります。
友野 旅先に枕カバーだけ携帯しても、だいぶ変わると思います。あるいは寝る前に、どこにいても身ひとつでできる筋弛緩法を試してもいいですね。
湯山 加齢に伴う睡眠の質の低下は、どうカバーすればいいですか。
友野 就寝中の室内はできるだけ暗くしてください。睡眠中も脳はまぶたを通じて光を感知しています。室内の明るさが3ルクスだけで肥満リスクが2倍になるという報告もあります。睡眠でダイエットや美容効果を期待するなら夜間は真っ暗な部屋が理想的です。ただ、トイレや介護・子育てで夜間起きる必要がある人は睡眠を妨げない照明の工夫を参考にしてください。
睡眠力アップにはパジャマ着用が必須。
〈寝返りの効果〉
1. 皮膚温調整
2. 血流・体液循環の促進
3. 睡眠サイクルのスイッチ役
4. 筋肉の疲れをほぐす
5. 背骨の歪みを矯正する
(友野さん資料より)
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