タンパク質豊富で糖質ほぼゼロ! 卵は賢いダイエットの強い味方。
撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり
卵を食べると賢く減量できる。理由をQ&Aで解説します。
Q 卵を食べて痩せられるって、本当なの?
A
「ダイエット食品として、卵は理想の食材です。太る大きな原因は、ご飯、パン、めん類、スナック菓子などに多く含まれる糖質の摂り過ぎ。糖質を摂取すると血糖値が急上昇し、インスリンというホルモンが大量に分泌されて血液中のブドウ糖を回収しますが、過剰なブドウ糖は中性脂肪に変わり、脂肪組織に溜め込まれていくんです。その点、卵の糖質量は1個約0.1g。究極の糖質オフ食品なんですよ」
野菜でも糖質量はきゅうり1本2g、トマト1個5.6gと意外とある。それに比べて卵の糖質はかなり低い上に、ダイエットすると不足しがちになるタンパク質も豊富だ。
「体内の糖質が減ってくると、体脂肪を燃やしてエネルギーに変える回路が働きだし、痩せやすい体質になっていきます」
Q 巷間いわれていた「コレステロール」との関係は?
A
「実は人間に必要なコレステロールの70〜80%は肝臓で作られ、残りの20〜30%を食事から摂取しているんです。コレステロールは体の中で常に一定量に調節されているので、食品からコレステロールを多く摂取すると肝臓で作られるコレステロール量が減り、食品からの摂取が少ないと、肝臓で作られるコレステロール量が増えるようになっています。ですから、コレステロール量の多い卵を食べても血中コレステロールには影響しないんですよ」
これまで世間から誤解を受けてきたコレステロールだが、体を構成する細胞の細胞膜を作り、脳の神経細胞やホルモンを作る材料でもある非常に重要な脂質なのだ。逆にコレステロールが不足すると免疫力が低下して病気にかかりやすくなったり、肌や髪、ホルモンバランス、メンタル面などの不調を招く原因になる。
「LDLを悪玉、HDLを善玉と呼ぶこともありますが、それは間違い。LDL、HDL、どちらも体に大事なコレステロールです。重要なことはLDLコレステロールが酸化して動脈硬化などにつながらないよう、ビタミンE・Cなどの抗酸化物質を積極的に摂ることです。コレステロールを理由に卵を敬遠せずに、毎日食べてほしいですね」
Q ダイエットに効果的な食べ方はありますか?
A
「卵やせのポイントは主食のご飯を卵に置き換えること。ご飯1杯(150g)の糖質量が55gに対し、卵3個分のオムレツの糖質は1.1gです。野菜やきのこをふんだんに使ったオムレツにすれば、ボリュームある一品になりますよ」
卵に不足している栄養素はビタミンCと食物繊維だが、朝食なら目玉焼きやスクランブルエッグなどシンプルな卵料理に葉物野菜のサラダを添えれば栄養バランスも充分だ。
「小腹がすいた時はゆで卵がおすすめ。腹持ちがいいし、タンパク質もしっかり摂れて文句なしです」
Q 卵の栄養価について教えてください。
A
「卵は『完全栄養食品』といわれます。そのとおりビタミンCと食物繊維以外のほぼすべての栄養素が、バランスよく含まれているんです」
卵は全身の細胞や筋肉など体の基本を作るタンパク質と脂質、骨や身体機能を維持するカルシウム、リンなどのミネラルが豊富に含まれている。また、アミノ酸代謝やコラーゲン生成に関わるビオチンも含み、美肌効果や、白髪の予防も期待できる。
「しかも卵のタンパク質には、体内では生成できない9種類の必須アミノ酸も含まれています。タンパク質の栄養評価を数値で表す基準として用いられている『アミノ酸スコア』では、卵は魚や肉と同じく100点満点なんです」
ダイエットで食事制限したり、野菜メインの食生活にしたりすると、一番に不足しやすいのが筋肉を作るタンパク質。そうすると代謝が落ちて、ますます痩せにくくなるという悪循環に陥ることに。
「女性は全般的にタンパク質の摂取が少ないように感じます。タンパク質は体の根幹を作る必須の栄養素。また、体の機能を調節するビタミンB群、赤血球の材料になるヘム鉄などの栄養素も、動物性タンパク質には豊富に含まれています。タンパク質の宝庫の卵はダイエットの強力無比のサポーターなんですよ」
※上記グラフは食品100gあたりの含有量(七訂食品成分表より)
今野裕之(こんの・ひろゆき)●ブレインケアクリニック院長。著書に『最新栄養医学でわかった!ボケない人の最強の食事術』(青春出版社)、監修した本に『卵やせ』(主婦の友社)が。
『クロワッサン』974号より