八神純子さんが実践する、若々しくハリのある声を保つ、 かんたん呼吸トレーニング。
撮影・清水朝子 文・嶌 陽子
年を重ね、艶や深みも加わって。美声を保ち続ける秘訣とは。
「みずいろの雨」や「パープルタウン」など、大ヒットとなった八神純子さんの歌の数々。伸びやかなハイトーンボイス、そして圧巻の声量は、当時、多くの人の心をつかんだ。
あれから約40年。現在の八神さんは毎年コンサートツアーを行うなど、精力的に活動中。当時と変わらない歌声で、人々を魅了している。むしろ、さらに声に艶が増しているのだ。まるで衰えを知らない美声の秘訣は、どこにあるのだろうか。
「2011年に本格的に活動を再開するまで、実質15年ほどお休みしていました。復帰するにあたって、ボイストレーニングをしたんです。私の場合、トレーナーにつくのではなく、自己流。声が枯れるほど、とにかく声を出しました。“喉を痛めるよ”と心配もされましたけれど、筋トレと同じで、多少負荷をかけたほうがいいと思って。おかげで、以前より声域も広がったんです。“年をとると声が出にくくなる”という話も聞きますが、私は信じなかった。自分の身体なんだもの。期待をかけてあげれば、喜んで応えてくれるんですよね」
声にとって大事なのは呼吸。日頃から深い呼吸を心がけて。
八神さんの声を支えているのが、20年以上前から続けているジョギングだ。
「ほぼ毎朝、30分くらい、ゆっくり走っています。このおかげで筋肉が鍛えられているんです。声を出すのに、腹筋や背筋は欠かせないですから。ずっと続けているので、3〜4日間走らない日が続くと、腹筋が緩くなってくるのが自分でもわかるんです」
ボディラインは引き締まり、長年悩まされてきた冷えもなくなった。ジョギングに合わせて曲ができてしまうこともあるという。
一方、年を重ねていくなかで、実感してきた変化もある。
「私の両親を見ると感じるのですが、年をとると、呼吸が浅くなりますよね。歌を歌っているから、すぐに気づくんです。呼吸が浅いと、声の伸びも悪いし、音程もキープできない。声にとって大事なのは、何よりも呼吸だと、最近あらためて実感しています」
普段から、なるべく深く呼吸をするように意識するのはもちろん、コンサートでは、歌うことによって、自然と深い腹式呼吸を何十回もすることに。
「一説によると、息を吐くことにはデトックス効果もあるのだとか。そのおかげか、私はコンサートを終えると、むしろコンサート前よりも元気になっているんです(笑)」
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