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Vol.44 お酒がやめられません。【40歳からのからだ塾WEB版】

文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

アルコール依存症の診断・治療はどうするの?

アルコール依存症を含む依存症の治療は、精神科や依存症の専門外来で行っています。「診断では、まず依存症かどうかの見極めが肝心」と利田さん。

アルコール依存症の診断ガイドライン

過去1年間に3項目以上が同時に1ヵ月以上続いた、または繰り返し出現した場合に診断。
過去1年間に3項目以上が同時に1ヵ月以上続いた、または繰り返し出現した場合に診断。

資料:厚生労働省みんなのメンタルヘルス総合サイト

【アルコール乱用の段階なら……】
飲酒欲求を抑える薬を使い、減酒を目指します。併せてカウンセリングなども行います(周愛利田クリニックのケース)。「依存症の手前なら、早い段階で回復も可能です」(利田さん)

【アルコール依存症と診断されたら……】
アルコール依存症は、患者本人が病気と認めていないことも多く、困り果てた家族が相談に訪れるケースが圧倒的に多いそうです。よって、患者自身が『酒をやめよう』という強い意志を持つことが治療のスタートに。依存症は〝否認の病〟でもあるため、やめる決意を持つまでがとても難しいのだそうです。

治療は、
 ①抗酒薬(一時的にお酒を飲めない体質にする薬)
 ②通院する③自助グループへの参加の3本柱が基本。

「一時的にお酒を飲めない体質にする抗酒薬を用い、必要に応じて家族や本人のカウンセリングを行います。断酒会やAAなどの自助グループへの参加は、断酒を継続するという意味でも欠かせません。せっかく断酒をつづけてきても、あるときお酒を勧められ、これくらいならと飲んでしまい、坂道を転げるように、元のアルコール依存症へと一気に戻ってしまうケースもあります。断酒の道は、体験者しかわからない、つらく困難な道のりです」(利田さん)

利田さんによると、アルコール依存者は、酒に対する執着が強く、家庭も仕事も犠牲にしてしまいます。しかも、本人が気づかないまま病状が進んでしまう怖い病気。自分で「このままではまずい」と気づくことができたなら、早めにアルコール依存症の治療を行っている精神科や依存症の専門外来に助けを求めましょう。
各都道府県や政令指定都市には、精神保健福祉の担当部署があり、精神保健福祉センター、こころの健康センターなどの名称で相談機関を運営しています。電話などで依存症の相談も可能なので、こうした行政の相談窓口を利用してみるのも一案だと思います。


ご協力いただいた医師
利田周太さん 周愛利田クリニック 院長
としだ・しゅうた●帝京大学医学部卒業、同大学院修了。大学病院精神科、都立病院勤務を経て1984年に開業。東京で初めてのアルコール依存症外来をスタートした依存症外来治療の先駆者。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

ライター、メノポーズカウンセラー 及川夕子
更年期、まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法も試してみたい!

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