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【後編】40代で始めたい、胃腸から若返る食事術。

胃腸に不安を抱える作家・真梨幸子さんと専門医・江田証さんによる対談の後編。寿命と深く関わる便秘の話から、新しい食事の概念へ。

撮影・青木和義 文・石飛カノ

真梨 そういえば今、思い当たりました。うちの母親がうどんとラーメンが大好きなんですが、食べるとお腹が張ってしょうがないといつも言っていたんです。麺類は空気を一緒にすするからお腹が張ると思い込んでいたんですけど、小麦粉のせいだったんですね!

江田 真梨さんは腸の声に耳を傾けるセンスがありますね。分からない人は本当に分からないものです。僕は腸に耳を傾けることを〝傾腸〟と言っているんですが、それが重要だと思っています。

真梨 傾腸。目からウロコです。

江田 FODMAP食には対処法もあるんですよ。たとえば真梨さんが出版記念パーティでラクトースの入ったケーキなどを食べなくてはいけないことが分かっているとき。ラクトースを分解するラクターゼという酵素の錠剤を飲んでおけば大丈夫です。

真梨 どこで買えるんですか?

江田 薬局でもネット通販でも手に入ります。

真梨 それだけ悩んでいる人が多いということなんですね。

江田 病院に行くと「食物繊維を摂りなさい」「ヨーグルトを食べなさい」と言われます。でも、一般的な健康常識に従えば従うほど悪化していく場合もあるんです。

真梨 うーん、良かれと思ってやっていることが悪循環の入り口になることって世の中にはたくさんある気がします。でも先生、FODMAPが高い食品の反応に個人差があるというのは、どう捉えたらいいんですか?

江田 腸内細菌が人によって違うからです。腸内細菌は便を調べることで現在はすべて明らかにできます。これはものすごい個人情報で将来は指紋のデータのように犯罪捜査に利用できるとも言われているんです。

真梨 それ、ミステリーのネタに使わせてもらっていいですか?

江田 どうぞどうぞ(笑)。

真梨 だから腸のケアも個人で処方しなきゃいけないんですね。吊るしの服ばかりじゃなくオーダーメイドしなきゃいけない。

江田 そのとおりです。今、一般的に言われている腸内健康法は、食物繊維を摂ることで酪酸や酢酸などの代謝産物を作りましょうというもの。酪酸や酢酸が腸の栄養になったり全身の血管を巡っていい効果をもたらすという理論です。でも実は、過敏性腸症候群の方は酪酸や酢酸が過剰に体内に存在しているんですよ。優等生の菌ばかりが増えると逆に不都合なことが起こるわけです。

真梨 これまさに、人間の世界にも当てはまりますよね。3・11の直後、感動するいい話の本ばかり売れていたんです。でも私は、いい話の本と悪い話の本、両方売れるのが健全な社会じゃないかと思ったんです。だから悪玉菌としていわゆるイヤミスを書く決意をして今に至っているんです。

江田 いわばイヤミスのような悪玉菌が、お腹の中で実は善玉菌が退治できない菌をやっつける大切な働きも担っているわけですね。

胃を若返らせる食べ物

ブロッコリー ブロッコリーに含まれるスルフォラファンという抗酸化物質がピロリ菌を減少させ、活性を抑え…

ブロッコリー ブロッコリーに含まれるスルフォラファンという抗酸化物質がピロリ菌を減少させ、活性を抑えてくれる。

ブロッコリースプラウト ブロッコリーの新芽。1日70g、8週間摂り続けるとピロリ菌の数が8分の1まで減少することが分かっている。

キャベツ キャベツに含まれるビタミンUには胃酸を抑える作用がある。冷やすとビタミンUが増え、加熱すると失われる。ぜひ生食を。

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