【がん体験者に聞く】ショックは受けたけど、人生をやり直す機会と捉えるように。
33歳の時に若年性乳がんと診断された塩崎良子さん。放射線治療終了後は鬱状態になりながらも、あることがきっかけで新たな一歩を踏み出す機会を得たと振り返ります。
撮影・千葉 諭
直後からビジネススクールに通い、一から経営を勉強し、社会起業家を輩出するコンテストでグランプリを受賞。昨年新たに「患者らしくよりも自分らしい」生き方を提示する会社を設立した。そのバイタリティたるや!
「もちろん再発のことも考えます。でも今、目の前のこと、今日を一生懸命生きて、たくさんの人に事業のことを知ってもらいたいんです」
病気の人も心が弾むようなデザインのケア帽子や杖、車いすの人が着脱しやすい衣料や靴を扱うケア&介護用品ブランド「KISS MY LIFE」、ケア&介護用品を販売する病院内ショップをおしゃれにプロデュースする事業も動きだした。就職に苦労するがんサバイバーのための働き口を提供する活動も行う。サバイバーならではの視点で、こんなものがあったらよかったというモノや空間を作り出している。
「がんになったことは私にとって人生をやり直すチャンスだったのかなと。それまでの自分のダメさ加減もよくわかったし、ほんとうは自分が何をしたいのかもクリアになりました。前の会社は趣味の延長みたいで、なくなるような仕事しかしていなかったんだ、と。今度の仕事は社会での役割を考えるようになって。商品と空間を使って新しい価値観や生き方を提案したい。それが今の夢です」
『クロワッサン』956号より
●塩崎良子さん TOKIMEKU JAPAN代表取締役社/2014年若年性の乳がんと告知される。術前抗がん剤、全摘手術。その後病院を変え、放射線治療を施す。
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