自分のカラダは、どう生きるかで決める。
女性ホルモン学
女性ホルモン学自分のカラダは、どう生きるかで決める。
体のことを抜きには語れません。
女性アスリートはホルモンの影響が大きい。
排卵の時期にじん帯がゆるむことも。
澤穂希、38歳。肩書はない。来年1月の出産を控え、ふっくらしたお腹の、ひとりの女性である。
「今の目標は、無事に出産を迎えること。どんどんお腹が大きくなり、胎動も感じる中、日々、体の変化を楽しみながら生活しています」
澤さんは、言わずと知れた女子サッカー界のレジェンドである。22年間にわたる日本代表での活躍、6度のワールドカップ出場。初優勝に導いた2011年には、MVP、FIFA女子最優秀選手賞を受賞。4度目のオリンピックでは銀メダル。いつも「目標を定め、実現するために」生きてきた。
「私は、20代から定期的に婦人科にかかり、低用量ピルを飲んでいました。女性を悩ませるいろいろな症状をコントロールできて、前向きになれました。何より、きちんとした知識を得ることが、自分の体に関心と責任をもつことにつながります。目標実現のためには当然のことでした」
もともと、将来的には結婚もしたい、出産もしたいと思っていた澤さん、20歳ごろから基礎体温もずっとつけていたという。
「きっかけは生理痛でしたが、体のことを知れば知るほど、女性がいかにホルモンの影響を受けているかわかりました。たとえば、排卵の時期にはじん帯がゆるみやすくなるので、女性アスリートはいつも以上に気をつけなければならないんです」
ピルを飲み始めたのも、月経コントロールのほかに、内膜症や鉄不足などのリスクを避ける目的もあった。
「女性ホルモンを上手に利用することで、ベストなパフォーマンスを発揮できる可能性が高まります。生理のリズムを知ったり、ちゃんと排卵しているのかを確認したり、自分の体が今どんな状態にあるか、常に把握するように心がけてきました」
そのことが、ひいては自分の夢を叶えることにつながっていく。そのためにも婦人科のかかりつけ医をもってほしいと澤さん。
「婦人科の診察は恥ずかしいと思うかもしれませんが、健康でなければ好きなことはできません。いざ、子どもがほしいと思ったときに、なかなかできないという方の話も聞いていましたし、ちゃんとケアしておけばよかったという後悔はしたくありませんでした。サッカーの試合に向けて日々の練習が必要なように、自分の体を知って『準備』をすることは、未来を切り開く上で大事なことです」