更年期経験者が果たす役割がある──トータルビューティデザイナーの美木ちがやさんが家族3世代で語る、体の変化
撮影・森山祐子 構成&文・越川典子
「年齢は関係ありません。一人の女性として向き合いたい」
トータルビューティクリエイター。パリで美容を学び、国内外のショーや広告、舞台のヘアメイクを担当。大人の女性のためのサロン「KAWABE LAB」を主宰。娘との共著多数。
「風通しのよい関係があれば、必要な情報は共有できます」
トータルビューティデザイナー。美容家の家系に生まれ、大学卒業後、インテリア、ファッション、美容を学ぶ。母・川邉サチコさんと共にサロン「KAWABE LAB」を主宰する。
「尊敬する人生の先輩を、身近で見ていられる幸せ」
大手セレクトショップPR。大手セレクトショップ「トゥモローランド」PR。ライフスタイルやインテリアのPRにも携わり、現在はファッションをメインに活動中。
10代には思春期の、20~30代には性成熟期の、40~50代には更年期の、60代はポスト更年期の、70代以降は高齢期の、それぞれの健康課題があります。
それらは、別々の課題のようで、実は1本のロープのようにつながっています。たとえば若い頃のヘルスマネジメントが、それ以降のQOLを大きく左右してしまうこともあります。
どの世代も、どの女性も、一人ひとりが人生の満足度を上げるためには、ヘルスケアの知識をもつ必要があります。その情報発信のキーパーソンになるのが、人生の折り返し地点にいる「更年期世代」でした。
若い世代への情報提供もできる知識をもち、上の世代と共にこれからを考えることもできる。そんな世代の代表として、トータルビューティデザイナーの美木ちがやさんと、その家族に登場してもらった。
ちがやさんは現在、60代。80代の母・トータルビューティクリエイターの川邉サチコさんと二人で、プライベートサロン「KAWABE LAB」を運営している。
「更年期前後から、体の中も見た目も変わることから、どんどん自信を失っていく女性がいます。私からすれば、年齢を重ねたからこその生き方やストーリーがあって、それがその人だけの個性や魅力になっているのに、です」
そんな大人の女性を美しく輝かせたいと願い、一人ひとりに、スキンケアからヘアメイク、スタイリングなどのファッションアドバイスをしていると、ちがやさんは言う。
「美しく年を重ねるには、ベースには、健康であることが欠かせません。そのための方法も、できるだけ情報共有をしているんです」(ちがやさん)
そんな川邉家の女性二人に、2年前、もう一人30代女性が加わった。ちがやさんの次男(エディター・川邉伸太朗さん)の妻・川邉麻姫さんだ。
女性の体は変わるから、年代ごとのケアが欠かせない。
「うれしいですよ。よく、息子は嫁の家にとられるからつまらない、と言いますが、違ったわね。かわいい女の子を連れてくるのだもの」
楽しい、と笑うサチコさん。お互い、何でも話すわね、とちがやさん。
「うちは、巨大な風穴が開いている(笑)。言いたい放題。母も私も、言わないでいられない性格なので」
そんな姑、大姑のいる家族に加わるのは、麻姫さん、さぞかし覚悟がいったのでは?
「いえ、言ってくれるのが、私にはありがたいんです。こちらから、言うべきかどうか迷っていると、ちがやさんは、今日は元気? あれはどうなったの? と聞いてくれる。そのおかげで、なんでも相談できるんです」
麻姫さんは、20代に体調を崩したことがある。
「忙しくなると、喉に出てくるんです。ムリした時期を越えて、あ、あぶないな、と思って調整をするようになったのが30代です。今は、定期的に朝7時からヨガに通って、それから出社するのが習慣。自宅でも呼吸法など、習慣にしています」
若いときは、何かとムリして体調を崩しがち。ちがやさんも体験済みだ。
「私もそうでした。20、30代は過多月経や子宮筋腫でずいぶんつらかったけれど、更年期の後半に入った今は、とても快適。いちばん調子がいいと言ってもいいですね。若い頃の自分に言ってあげたい。治療法やケア方法など、今はいろいろな方法があるのよ、大丈夫よって」(ちがやさん)
今ある不調をそのままにしてほしくない。なぜなら、女性の体は1本のロープのようにつながっていると、今だからこそわかるから、とちがやさん。
「私の更年期は、不調が始まってから、サチコさんが通っていた婦人科にかかり、ホルモン補充療法(HRT)を続けていました。つらかった症状はなくなり快適になりましたが、60代になった今は一時中止。女性ホルモン様の作用があるというエクオールのサプリメントをとるようにしています」
更年期に入ってずっと悩みだった手指のこわばりも気にならなくなり、肌や髪、骨も守ってくれる気がしている。
「愛用しているサプリメントは、メーカーが長年研究して、その結果も学会発表されています。体に取り入れるものですから、安心・安全を選ぶ目も必要と伝えていきたいものです」
毎日の、小さな体のチューニング、欠かさない習慣こそ強い
とくに更年期の不調が、10年後、20年後の不調につながることがあるし、ケアすることでそのリスクを減らすことだってできると考えている。
「気になるのは、やはり体のこと。高齢になるほど、怖いのは骨折。サチコさんは、朝のヨーグルトに加えて、私のすすめでエクオールのサプリメントも習慣になったわね」(ちがやさん)
毎日の習慣は強いのよ、とサチコさんは言う。
「水泳は40代から続けているし、毎日40分のウォーキングも欠かさない。歩いていると、いろいろな世代から『その髪の色はどうやって?』『どうして、そんなに髪が豊かなんですか』と聞かれることも多いのですが、いちばんの秘訣は、毎朝のブラッシング。20代から続けています」(サチコさん)
年齢が上がるほど、体の変化を感じてくる。こうした小さなチューニングを実践して、体調を整えることが、日日の暮らしを支えてくれている。
「朝起きて鏡を見ると、がっくりくること、ありませんか?」とちがやさん。
「自分の姿を受け入れがたい日もあるんです(笑)。そのままじゃ一日過ごせない。そんなときは、明治の時代からの美容家の一家に生まれ、受けつがれてきた温冷洗顔から始まり、ストレッチや頭、顔のマッサージがモノを言います。メイク後、あらためて自分の顔を見ると、『これで、よし!』と気合を入れることができる。こうして私の一日が始まるんです」(ちがやさん)
3世代に共通した習慣もある。
「麻姫ちゃんも、サチコさんも私も、体を整えるためにしているのは、ヨガです。エクオール含有のジュレは、そんなときのお守りみたいな存在です。エクオールのほかにビタミンDも含有されているので、サチコさんはもちろん、麻姫ちゃんには寒い季節にとすすめているんです」
年齢は単なる記号、「老化」じゃなく「進化」
3世代の中心であるちがやさん。若い頃の自分と重ねて30代を思いやり、また、80代の母の背を見ながら、これからの自分の行く末を重ねている。
「変化することは悪いことじゃない。母も私もネガティブにとらえていません。『老化』というより、むしろ『進化』と言ったほうがいいと思っているんです」(ちがやさん)
国内外のファッションショー、CFや広告の世界で活躍してきたサチコさんがサロンを始めたのが50代の終わり。髪の色を今のようなホワイトブロンドにしたのは、70代だ。
「年齢を楽々と超えて、ステキに進化しています。これがダメなら、こうしてみよう、とトライする。その姿勢は、わが母親ながら、すごいと思っています。見習うというより、その姿が血肉になっていると思います。何歳になっても、いつも新しい扉は用意されている。開けるかどうかは、自分次第です。やめない。あきらめない。これが自分らしく生きるコツのような気がします」(ちがやさん)
麻姫さんも言う。
「二人は、先輩女性としてかっこいいだけではなく、時代に寄り添いながら変化に対応する柔軟さがある。それが魅力的。そういう大人を身近に感じていられるのは幸せです」(麻姫さん)
「川邉家の互いの呼び方は、おかあさん、おばあちゃん、じゃないんです。サチコさん。ちがやさん。息子たちが小さい頃からそうで、サチコさんのことを、サッちゃん、と呼んでいます」(ちがやさん)
上下関係、性別、年齢は関係ない。フラットな関係でいたい、というサチコさんの流儀でもあった。
「どう生きるかは、自分らしく生きることに尽きます。昔はよかった、今の自分は嫌い、そんなふうに生きるのはもったいない。自分は世界中でたった一人。唯一の存在です。今の自分を好きになる、今の自分が好きなもの、すきなことをして生きる。そんなふうに生きてほしい」(サチコさん)
「サチコさんを見ていて思うのは、たしかに自分を生きている。イヤなことはしない。言いたいことは言う。それでいいんです。私も同じで、まず自分を優先します。自分を整えていかないと、周りの人を支えることもできません」(ちがやさん)
麻姫さんには、忘れられない思い出がある。
「私のウエディングドレスを決める時、夫も意見があったのですが、ちがやさんに『誰の意見も聞かなくていい。麻姫ちゃんが着たい服を着る。自分で決めなさい』と言われたんです」
毎日着る服ひとつとっても、その日の気分やマインドが変わる。自分が好きと思える服を選ぶ。他人の目で判断する必要はない、と。
「好きなものは、時代で変わるし、自分の年齢でも変わります。私たちは、過去に生きているわけじゃない。今をどう生きるかに集中して、ハッピーにするためにどうするかを考えて生きていきたいもの」(サチコさん)
「はい、人生を楽しむことは、サチコさんからしっかり学んでいます(笑)」(ちがやさん)
「私も、お二人のこれからの姿、しっかり学び取っていきたいと思います」(麻姫さん)
『クロワッサン』1152号より
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