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パートナーに勧めたい、男性更年期と上手に付き合う方法

男性にも、心身に様々な不調が現れる更年期障害は起こる。お互いのQOLを上げるため、パートナーの更年期の対策を知っておこう。市ヶ谷ひもろぎクリニック院長で、心療内科と連携して男性更年期治療に従事する土井直人さんに聞きました。

イラストレーション・金井冬樹 構成&文・板倉みきこ

不調の原因を知ることは、対策を講じる際にとても重要なこと。でも、厚生労働省が行った更年期に対する意識調査によれば、「男性にも更年期にまつわる不調があることを知っているか」との問いに対し、「よく知っている」と答えた男性は2割未満と少数派。

「ただ、男性芸能人が更年期をカミングアウトするなど、ここ数年で認知度は上がってきていると思います。特にコロナ禍以降、心身の不調を更年期と結びつけて来院される男性も増えましたし、カップルで相談に来る方もいます」(医師・土井直人さん)

不満や不安と無縁の生活を過ごすため、自分の更年期対策同様、パートナーの更年期の対処も心得ておきたい。

睡眠

パートナーに勧めたい、男性更年期と上手に付き合う方法

睡眠時間の確保と質の向上が一番大事

テストステロンの分泌を妨げるストレス対策に最も効果的なのが、質の高い睡眠をとること。

「テストステロンは夜間、特に深夜1〜3時頃の深い睡眠中に多く分泌されます。つまり、夜間に質の高い睡眠を確保することが何より大事です。同時に、ストレスに負けない心身をつくるのにも、日中の疲労をリセットしてくれる良質な睡眠は欠かせません」

一度、パートナーと一緒に睡眠環境を見直してみよう。

「寝る前に明るい光を浴びない、カフェインを取らない、アルコールを飲み過ぎない、毎日定時に起きるなど、睡眠習慣を整えていきましょう」

食事

パートナーに勧めたい、男性更年期と上手に付き合う方法

栄養素に注目しつつ、ベースの腸も整える

テストステロンをアップしてくれる、注目の栄養素がある。

「テストステロンの合成に関わるのが亜鉛。牡蠣、小麦麦芽、豚レバー、カシューナッツなどが代表的です。ねぎ類など香り野菜に含まれる成分のアリシン、山芋などに含まれるジオスニゲン、ラム肉などに含まれるカルニチンは、どれもテストステロンをアップさせる作用があります」

ただ、栄養を吸収する腸内環境が整っていなければ意味がない。

「腸内環境が改善されないと、ホルモンの分泌は促進されません。食物繊維、発酵食品などもバランスよく取り、ベースを整えることを忘れずに」

運動

適度な運動はマスト。まずはウォーキングを

運動不足は男性更年期障害の要因ともなる。

「普段からあまり運動していない肥満体形の人などは、ウォーキングから始めましょう。脈拍を1分間に120〜140ほどで維持し、軽く息が弾む程度の負荷で1回に20〜30分歩きます。脂肪を燃焼させて消費カロリーを増やすので、メタボの改善につながり、テストステロン値も上がります。運動に体が慣れてきたら、テストステロン値が確実に上がる筋トレを始めて。スクワットや腕立て伏せなどを1日20分程度取り入れるといいでしょう。ウォーキングや筋トレは週に3回程度行うのがおすすめです」

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コミュニケーション

笑いの絶えない関係性を築こう

更年期のカップルのQOLの向上には、良好なコミュニケーションを保つことが大事。お互いの症状を理解し、自分たちでできる対策を生活に取り組んでいきたい。

「これまで紹介した、睡眠、食事、運動の見直しとともに、“笑う”ことも意識してください。笑っている最中は交感神経が興奮するのですが、笑い終えた回復期は副交感神経が活発化し、リラックス効果が得られ、性ホルモンの分泌が促進されるのです。コミュニケーションをとり、笑う機会を増やせば、お互いの精神状態も良くなり、性ホルモン分泌にも好影響を期待できるでしょう」

  • 土井直人 さん (どい・なおと)

    日本泌尿器科学会専門医。日本腎臓病学会、メンズヘルス医学会所属。『市ヶ谷ひもろぎクリニック』院長。漢方にも精通し、心療内科と連携して男性更年期治療に従事。

『クロワッサン』1152号より

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