認知症を防ぐ「会話力」を身につける方法【「感じる力」と「考える力」を自分で鍛える】
イラストレーション・佐々木一澄 構成&文・板倉みきこ
「感じる力」と「考える力」を自分で鍛える
認知症予防に役立つ会話に必須な「感じる力」と「考える力」は、セルフケアでも鍛えられる。
ここでは日常生活に取り入れやすい6つの方法を紹介。脳の柔軟性を高め、今何をしているのか、意識的になる時間を増やすことが大切。認知機能を効果的に活用して、普段の何げない時間をトレーニングする時間に変えていこう。
1. 表情筋をしっかり使う
「顔面神経は脳からダイレクトに出ているので、顔は脳を映す鏡ともいわれ、認知症患者は無表情になる傾向があります。逆に、表情筋を普段から使っていれば、表情筋から脳に信号を送ることができます」
感情表現が苦手な人ほど、積極的に表情筋を鍛えよう。
2. ありもので料理を作る
マンネリの料理を続けていると脳が活用されず、お休み状態に。
「新しい料理に挑戦するのはいい方法。さらに効果的なのは“ありもの”で作るオリジナル。思考、理解、創造力など、様々な認知機能を同時に使え、料理が完成した時の達成感などで感情も刺激できます」
3. テレビを見ながらツッコミを入れる
コミュニケーションが苦手だったり、自分の考えを言語化するのが苦手な人は、頭の中でも自分の考えをまとめて言語化する癖をつけていきたい。
「おすすめはテレビを見ながらツッコミを入れたり、自分の好きな話の上手な人の会話を真似ること。話す力が向上します」
4. 普段からきれいな景色、面白い場所に意識を向け、写真に撮る
話すような面白いことがないから会話が苦手、という人におすすめなのが、スマホなどで画像に残すこと。
「普段の生活の中で出合う、面白い場面やきれいな場所など、感情が動くことを見つけるよう意識して過ごすことそのものが、認知機能の向上につながります」
5. 食事をする時はじっくり味わう
何を意識するでもなく過ごしている時間は多いけれど、認知症になるとさらに無意識の時間が多くなってしまう。
「今やっていることに集中するのが、認知機能の維持には必要です。忙しくても、食事の時間だけは食べることに集中しましょう。感じる力も鍛えられます」
6. 流行っているもの、新しいものを取り入れてみる
興味・関心がないものは聞き流すことが習慣になっていると、脳を使う機会が減少する。
「流行っているもの、新しいものを取り入れる柔軟性も必要です。語彙が多い人は、認知機能を維持できる傾向にあります。新しいものに触れ、語彙を増やしていきましょう」
『クロワッサン』1127号より