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認知症を防ぐ「会話力」を身につける方法【相手によって、会話の仕方を変える】

誰もが「なりたくない!」と望む認知症の予防には、「会話」に意識を向けること。最新の研究成果を反映した、具体的な活用法を工学博士の大武美保子さんが解説。

イラストレーション・佐々木一澄 構成&文・板倉みきこ

相手によって、会話の仕方を変える

工学博士の大武さんが、会話支援ロボットを使って研究しているのが“共想法”。会話を通して、「話す」「見る」「聞く」「考える」力を養っていく方法だ。私たちが日常で実践するなら、とにかく会話に集中すること。

同時に、話す相手のタイプによって会話の仕方を変えれば、認知機能の維持に役立つ会話ができるようになる。

おしゃべりな人には…

認知症を防ぐ「会話力」を身につける方法【相手によって、会話の仕方を変える】

頷くだけでなく、質問力を発揮する。

つき合いが長いほど、話好きな人の聞き役に徹するのに慣れてしまいがちだが、頷くだけでは認知機能が停滞。

「頭の中を“無”にして話を聞き流してしまわないこと。おしゃべりな人との会話は質問力を養える場と思い、頭をフルに使って話の要旨を掴み、会話を展開させましょう。相づちプラスαで話を膨らませていくといいですよ」

認知症を防ぐ「会話力」を身につける方法【相手によって、会話の仕方を変える】

上・ただ聞いているだけをやめ、聞くことに集中し、話の要旨を掴んで合いの手を入れる。
下・相手がさらに話しやすくなる質問を。質問力の向上は、認知機能の維持にも影響。

無口な人には…

認知症を防ぐ「会話力」を身につける方法【相手によって、会話の仕方を変える】

自分が聞き役になり、話題を振ってみる。

無口でも、楽しそうにしてくれているなら関係性は良好。でもあなた自身の「聞く力」が養われない。

「一方的に自分ばかり話していないか、会話を俯瞰してみましょう。相手の好きそうなジャンルを探って質問するのも手。夫など親しい間柄なら『“話す力”を鍛えないと、脳に良くないらしいよ』と明るく誘導してもいいのでは」

認知症を防ぐ「会話力」を身につける方法【相手によって、会話の仕方を変える】

上・映画など、共通の体験を通して質問すると会話が続きやすい。新たな視点を知る機会にもなる。
下・話し下手な人でも、思わず話したくなること、楽しく話せそうなことを質問する。

お互い一方通行に会話してしまう時は…

認知症を防ぐ「会話力」を身につける方法【相手によって、会話の仕方を変える】

話すのをいったんやめ、相手の話に集中。

それぞれが好き放題に喋ってしまうのは、女性同士で多い話し方。

「ただ話すだけでは、認知機能の維持にはつながりません。自分も聞いていなかった、ということに気づいたら大きな一歩。次に自分が変わり、聞き役をしっかり担ってみましょう。相手が何を言いたいのか、理解しようと話に集中すると認知機能が相当活かされます」

認知症を防ぐ「会話力」を身につける方法【相手によって、会話の仕方を変える】

上・相手の話をしっかり受け止め、内容を理解してから自分の話につなげていく。
下・話を伝えるだけではなく、自分の話の内容に合わせ、相手の意見を聞いてみる。

  • 大武美保子

    大武美保子 さん (おおたけ・みほこ)

    工学博士

    理化学研究所革新知能統合研究センター所属。認知行動支援技術チームリーダー。会話支援ロボット「ぼのちゃん」を開発。実践研究を行う。

『クロワッサン』1127号より

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