失われる女性ホルモン あなたの選択を支える基礎知識
撮影・森山祐子 イラストレーション・マサキヒトミ 構成&文・越川典子
Q. いつHRTを始めるのがベスト?何歳まで 続けられる?
ベストタイミングは、閉経前後。タイミングを逃したとしても、10年以内に始めればよいとされている。
「HRTはエイジングをゆるやかにしてくれるので、早いスタートのほうが効果を期待できるわけです。10年を過ぎた場合も、医師の判断により可能です。継続する期間も、今は、期限は決めず、定期的に目的を確認して続けられると変わってきました」
Q. この不正出血、単なる更年期障害?
40代以降は、婦人科系がんの好発年齢(かかりやすい年齢層)でもある。いつもと違う出血に驚いてしまう人も少なくない。
「だらだらと2週間以上出血が続く、かたまり状の出血、色やにおいが違う、痛みが伴う……そんな場合は、放っておいてはいけません。すぐに婦人科に行きましょう」
医師も、本人の話を聞かないことには、更年期による月経の乱れなのか、重篤な疾病が隠れているのか、判断のしようがない。「出血しているときに婦人科に行ってもよいのか」という質問も受けることがあると小川さん。
「原因を知るためにも、出血が止まるのを待たずに婦人科に来てください」
Q. 低用量ピルからHRTに移行するタイミングは?
「低用量ピルは閉経くらいまでは継続服用ができますが、更年期以降は血栓のリスクが高くなります。ただ、避妊目的で処方されている場合、閉経までは妊娠の可能性もあるので、医師と相談しつつ決めていきましょう」
ただし、50歳以降は、低用量ピルは禁忌とされている。
「いずれにせよ、パートナードクターとの連携が大事になります」
Q. 「天然型」ホルモンって何のこと?
「天然型」とは、人間の体内で産生されるホルモンと同じ構造をもったホルモンのこと。天然型エストロゲン(E2)経皮製剤では血栓症のリスクが少なく、天然型プロゲステロンでは乳がんリスクが少ないとされている。
「昨今、ナチュラルホルモン補充療法という言葉を散見しますが、あれはいわゆる『天然型』のホルモン剤と同じ。自然由来の特別なものと誤解しないよう注意が必要です。一般の婦人科で処方される天然型女性ホルモンと同じもので、当然、保険適用もされます」
Q. 女性ホルモンはサプリメントで増やせる?
減ってしまったエストロゲンを増やすサプリメントも食べ物もありません、と小川さんはきっぱり話す。
「ただし、大豆を発酵させたエクオールという成分は、エストロゲンのレセプターにはまり込んで、女性ホルモン様(よう)の働きをしてくれることがわかっています。エクオール製剤の選び方もよく聞かれますが、私は、自社で開発・研究をし、情報公開をしている会社のものを選ぶようにしましょうと答えています」
『クロワッサン』1127号より
広告