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失われる女性ホルモン あなたの選択を支える基礎知識

いざ自分に不調が起きたとき、治療手段があると知っていれば、あわてずに選ぶことができます。それがQOL(人生の質)を守ることにもつながります。

撮影・森山祐子 イラストレーション・マサキヒトミ   構成&文・越川典子

失われる女性ホルモン あなたの選択を支える基礎知識

よくある質問に小川真里子さんが答えます。

Q. この症状、更年期障害かどうかわからない

ホットフラッシュ、のぼせ、めまい、動悸、肩こりなどの血管運動症状。腰痛、関節痛、疲れ、手足のしびれ、冷えなどの身体的症状。イライラ、落ち込み、不眠、意欲低下、判断力低下などの精神的症状。ほかにも、皮膚の乾燥、ドライマウス、ドライアイ、湿疹など更年期症状は全身にあらわれる。

「最近とくに注目されているのが、手指の違和感、痛み、変形です。これも、エストロゲン減少によるひとつの症状とわかっています。そして、もうひとつ覚えていてほしいのは、GSM(閉経関連尿路性器症候群)です」

膣の乾燥、かゆみ、においなどフェムゾーンの悩み。膣が萎縮していくことによる性交痛で婦人科に行っていいものかもわからない。

「膣炎の痛みをずっと我慢して婦人科にたどりつく人もいます。尿失禁や頻尿も更年期症状のひとつです。膀胱炎を繰り返す人も少なくありません。泌尿器科に何度行っても対処療法のみ。婦人科ならばHRTなどで軽快する可能性があると知っておいてほしいですね」

小川さんが伝えたいのは、「決して我慢しない」ことだという。

「個人差があるので、今までとは違うと思ったら、婦人科に行ってみましょう。我慢しているうちに、症状は重くなり、リカバリーに時間がかかることもあります。やり過ごせばいいという時代は終わり。40〜60代女性が働き手として社会から期待されている今、更年期治療は、単なる症状の改善だけでなく、生涯のヘルスケア維持という大きなミッションももっていると思います」

ひとつでも重い症状があれば、 婦人科の受診を検討しよう

【 更年期障害評価尺度(MRS)でチェック 】

■ ホットフラッシュ(急なのぼせ・ほてりや発汗)
■ 胸部の不快感(脈が異常に感じる、脈が飛ぶ・速い、胸の圧迫感)
■ 睡眠障害(寝つきが悪い、夜に目が覚めて眠れなくなる、朝早く目覚める)
■ 抑うつ気分(気分が落ち込む、悲しくなる、意欲がわかない、気分変動)
■ イライラ(神経質になる、緊張する、攻撃的になる)
■ 不安(心が落ち着かない、パニック状態になる)
■ 身体的・精神的疲労(全体的な活動性の低下、記憶力・集中力低下)
■ 性的な問題(性欲の変化、性行動や性的な満足度の変化)
■ 排尿障害(尿が出づらい、排尿回数が増える、尿もれがある)
■ 膣の乾燥(膣が乾燥した感じ、あるいは熱い感じがする、性交が困難)
■ 関節・筋肉の違和感(関節の痛み、腫れ、こわばり)

「更年期障害評価尺度(Menopause Rating Scale)
日本語版の作成と内容妥当性の検証」小川真里子ら 
日本女性学学会雑誌 第31巻第4号 2024年7月より作成

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