上田淳子さん×レイナさん対談。下ごしらえが何より大事。大人の幸せベースメイク。
撮影・藤澤由加 ヘア&メイク・レイナ 構成&文・中條裕子
友人に誘われた上田淳子さんが初めてレイナさんのメイクレッスンを受けたのが3年ほど前のこと。その際にメイクへの意識がガラリと変わったという。最近再びメイクレッスンを受け、料理とメイクの共通点を改めて痛感した上田さん。同じ気持ちを抱いたレイナさんと、熱く語り合いました。
上田淳子さん(以下、上田) 実は、私はメイクに対して考えが凝り固まっていて苦手だったんです。けれど私が料理についてほかの人に語っていることを「メイクについても一緒ですよ」とレイナさんに言われて。魚を買ってきたら臭みを取るため塩をしてしばらく置く、という下ごしらえを何げなくやっているけど、やるとやらないでは仕上がりが違う。それはメイクも一緒なのだとレッスンの中で気づきました。
レイナさん(以下、レイナ) 知ってるテリトリーに落とし込めると腑に落ちやすいんですよね。
上田 マッサージも時間がないからと逃げてたけど「魚は塩してから焼くじゃないですか」と言われたら「確かにそのまま焼かないです……」と(笑)。
レイナ 私も上田さんとお話ししていると、共通点が多いので驚きます。料理は毎日するもの、でも適当にしても生きていける。メイクもそう。
上田 料理も買ってきたお惣菜でも生きていけるし。
レイナ でもちょっときれいになると一日の過ごし方が変わるし、人生の豊かさが変わるなと思っていて。
上田 自分で自分のご機嫌を取れるのは、メイクと料理も一緒。洋服は毎回買い替えられないし、部屋の模様替えも大ごとだけど、料理もメイクも毎日作ってはなくなるもの。簡単で納得して楽しめる方法を自分の手でできるようになっておくと、歳を取っても笑っていられるような気がしますよね。
レイナ そして、メイクも料理もときにフルでがんばったり、日常のおいしいごはんがあるのも同じ。
上田 お客さまが来るならがんばって料理するけど、近所のママ友ならおいしいお茶を入れておつまみだけ用意しておこうかなとなる。それと一緒で、メイクにもちょっとしたハレとケがあるんだなと気がつきました。それまではゼロか100だと思っていて。でもその間が大事なんだ、と。
レイナ 毎日フルメイクだと疲れてしまいますものね。
上田 お腹もそうです。時々ハレがあって、ケをどれだけ楽しむか。
レイナ 肩肘はって頑張っていたら絶対に続かないので、自分が心地よく過ごせる状態に朝整える。朝ごはんとメイクは近いかも。すっぴんで出かけてどこかで映った顔を見て「ああ、私って……」と思うより、ちょっと下地をつけて肌に血色があるだけで、元気そうに見える。別に長い時間をかける必要はなくて、大事なのは下ごしらえの部分なので、スキンケアしながらできることを少しやっておくと、それだけで土台の力がグンと上がります。
上田 お料理もそう。土台作りをきちっとやり続けると、翌日の土台を作るのが楽なんですよ。
レイナ やっぱりそこも同じですね!
上田 最低ラインの食生活のバランスとか肌トラブルにならないケアは、毎日を楽にしていく一つの方法だと実感してます。というのは、この夏あまりに暑すぎていろいろ顔に塗りたくなかった。でも押さえるべきポイントを教えてもらい下ごしらえができていたので秋のダメージが少なかったんですよ。
レイナ それはうれしい!
上田 日々肌を触って保湿を入れるということだけで、たいしたことはしてないんですけど。
レイナ 顔も手で触れてコミュニケーションをとると全然変わってきます。
上田 料理も同じ。今日の小松菜はしなしなだから水に浸けてシャキッとさせようとか。目視でもいいけど触って切って、断面を見るとわかるので。
レイナ フルに五感を使うということですね。メイクも同じで、肌に触れて感触を確かめるようにすることが大事。
上田 今日は乾燥してるからたっぷりめに保湿しよう、とか。
レイナ そう、朝、血色が足りないからちょっとチークをプラスしようかなとか、味見をして変える。
上田 料理もメイクもがんじがらめになって苦しんでいる人がいるから、もっと手のひらで転がして自由に自分が楽しめるものになってほしいですね。
レイナ フルでしないといけないと思っていると、時間がないからゼロとなる。そうではなく、寝ぼけながらでも脇の下のリンパだけは流すとか、少しでいいから毎日やってみると変わっていく自分が楽しくなってきますよ。
上田 続けてストレッチすると体が変わるのと同じ。人生の後半を楽しむ方法はそこにあるのだと思います。
レイナ メイクも料理も、自分にとっての心地よさが一番です。
レイナさんのレッスンを受けて上田さんが買い足したもの。
『クロワッサン』1130号より
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