心が疲れきってしまったときは…自分の思考のクセ=スキーマを知ってストレスに対処。
そんなストレスフルな日々を解放するセルフケアを教わりました!
イラストレーション・佐々木一澄 文・田村幸子
ストレス対処法、コーピングに挑戦してみよう。
ストレスをそのままにしないで、意図的に対処することを「コーピング」という。アメリカの心理学者リチャード・S・ラザルスが考案し、’80年代に広まった心理学専門用語。
「体調の変化や気分の変化など、ストレスに気づくことが、コーピングのとっかかりになります。自分に問いかけて、何が不快なのか、どんなときにしんどくなるのかを細かく書き出します。大切なのは、いいのか悪いのかジャッジしないこと。ありのままの気づきを受けとめてください」と伊藤さん。
心がくたびれていても、自分のことは後回しになりがちだが、
「そういうときは、セルフコンパッションといって、ほかの人が苦しんでいるときにどうするかを思い浮かべます。体調が悪そうな人を見かけたら、大丈夫?と声をかけていたわるでしょう。同じように自分のことを思いやってあげてください」
ストレスを書き出して可視化できたら、心を落ちつけるセルフケアや具体的な対処法をリストにしよう。
「ネイルを塗り替えるのも気分が上がるし、公園を散歩するだけでもいいのです。とはいえ、ストレス発散しようとショッピングで散財すると、さらなるストレスになるので要注意」
自分だけのコーピングレパートリーを日々更新しておきたい。
何がストレス? 自分の心を見つめて書き出そう。
まずは今の自分のストレスに気づくことが第一歩に。「自分に問いかけて、具体的に書き出します。ストレスの原因が苦手な相手なら、『批判的な口調が気に入らない』『タバコ臭い』『卑屈な性格にうんざり』など、その人のどんなところがストレスなのかを具体的に箇条書きにします。できるだけ正直に、思ったままでかまいません」
(例)
・部長はいつも気に入らないことがあると怒鳴る。
・混み合った電車で人の体臭が気になる。
・会社の同僚が、誰かの悪口で盛り上がっている。
・片づけても片づけても、部屋が散らかる。
・義実家の駅が近づくと、鼓動が速まる。
・ハロウィンやクリスマスのイベントが憂鬱。
[書き出してみよう]
気持ちが楽になる、落ちつく方法をリストにしてみよう。
自分が抱えているストレスをモニタリングして書き出せたら、思いつくコーピング(セルフケア法)をリストにする。「お気に入りのぬいぐるみを抱っこするのもいいし、花を買うのもいい。これをすれば気分が落ちつく、安心するという方法を書き出して」と伊藤さん。自身もリストを紙に書いてクリアファイルに入れ持ち歩いているそう。
(例)
・肌ざわりのいいブランケットにすっぽり包まれる。
・ラベンダーやフランキンセンスのアロマオイルをたく。
・近所の花屋さんで花と植物を眺める。
・ずっと欲しかった時計やジュエリーのことを思い浮かべる。
・ちょっと上等なアイスクリーム(バニラビーンズ入り)を食べる。
・もし、推しのあの人がわが家にやってきたら、と妄想する。
・スーツケースとパスポートと世界地図を広げて旅の予定を立てる。
[書き出してみよう]
対処法を考えて、書き出してみる。
ストレスが外在化できたら、次のアクションはそのストレスへの対処法を考えること。「散らかった部屋がストレスなら、片づけを外注してもいいし、上司の存在がストレスなら、異動願いを出してもいいと思います。人間関係のストレスは相手との距離をとることがいちばん。やんわり断り、フェイドアウトできるように」(伊藤さん)
(例)
・部長よりも上位職に相談して、異動できるよう交渉する。
・会社の産業医に面談を申し込む。
・夫への不満を箇条書きにする。
・通勤時には好きなアロマオイルを数滴つけたコットンを持ち歩く。
・「子どもは子ども、私は私」と、心の中で唱える。
・義実家に行く回数を減らし、行くときは夫から時給をもらう。
[書き出してみよう]
自分の周りのサポートネットを可視化しよう。
ストレスを抱えたとき、あなたの話を親身になって聞いてくれる人、あいさつだけでもかわせる人、リアルには話せなくても心の支えになってくれる人やペット、いざというときに相談できる場所など、あなたのサポートネットワークを図にしてみよう。孤独に打ちひしがれそうなときも、〝お守り〟のように手帳などに挟んでおくと安心。
[以下、それぞれを書き出してみよう]
私 → 仕事上で話せる人は?
私 → 癒やしてくれるペットや動物は?
私 → SNSで繋がっている友人は?
私 → 思い浮かべると元気が出る推しは?
私 → 今は亡き大事な家族や恩師は?
私 → かかりつけの病院のスタッフは?
私 → 挨拶したことがあるお店の人は?
(こんなときは、要注意。)プロの手に助けてもらおう。
「『眠れない、食べられない、死にたい』、この3つがあるときは緊急度が高いので、一刻も早く医療機関に相談してください」と伊藤さん。
心療内科や精神科の敷居が高いなら、かかりつけ医に相談して紹介してもらうか、薬を処方してもらうこともできる。
そこまで緊急ではなくても、不安が治まらないときは、カウンセリングが受けられる機関に相談しよう。
「内科医以上に心理系の医師やカウンセラーとは、相性の良し悪しが分かれます。『合わないな』『ろくに話も聞かずに薬だけ処方されて不安』というときは、遠慮しないでほかの医療機関をあたっていいのです」
[近隣の病院や心理カウンセラーのほか、電話相談も有効。]
・いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク)
TEL.0120・061(おもい)・338(ささえる)(通話料無料)
日・月・火・金・土曜0時~24時、水・木曜6時~24時※
木曜6時~火曜24時は連続対応
・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
TEL.0120・279(つなぐ)・338(ささえる)(通話料無料)
岩手県・宮城県・福島県からは TEL.0120・279(つなぐ)・226(つつむ)(通話料無料)
24時間対応
・いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟)
TEL.0120・783(なやみ)・556(こころ)(通話料無料)
毎日16時~21時※毎月10日は8時~翌11日8時
IP電話(アプリケーション間の無料通話を除く)からは TEL.03・6634・7830(通話料有料)
ナビダイヤル受付センター TEL.0570・783・556 10時~22時
『クロワッサン』1104号より
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