「老化は抑えることができる」。85歳の美容家・川邉サチコさんのきれいを保つ美意識。
美しさは年齢ではない。80代の川邉サチコさんに話を聞いた。
撮影・三東サイ 文・辻さゆり
「年齢で変化していくのは当たりまえ。でも整えたら必ずよくなっていくのよ。」
「私は子どもの頃から脂性でにきびも多かったから、若い頃から皮膚科に行ったり、エステに通ったり、いろいろな化粧品を試してきました。たまたま結婚した相手の母が美容家で、サロンには皮膚科もあり、そこで皮膚は生きているということを教えてもらったんです」
長年ヘア&メイクアップアーティストとして、世界を舞台に活躍してきた川邉サチコさんは、娘のちがやさんと共にサロン「KAWABE LAB」を開き、訪れる人にこれまで培ってきた美容法やヘアスタイル、ファッションなどをトータルでアドバイスしている。
「肌に必要なのは、しっかりとした洗顔とマッサージ、必要なものを補うこと、それからシーズンによって化粧品を変えること。だから一つのブランドに統一するのではなく、自分に合ったものを、気候によって変えています。私は化粧水だけで常時4種類くらい用意しているけれど、最低2種類くらいは使い分けてほしいですね」
朝起きてからお昼までの間に皮膚をどう作っていくかは、自分次第。
「朝、鏡を見て肌質が悪いなと思ったら、洗顔をしっかりする。私はぬるま湯で顔を洗い、その後氷水ですすぐということを2回やっています。そして欠かさないのが頭皮マッサージとブラッシング。顔は頭皮まで一続きなのだから、顔の筋肉を上げるには、こめかみから頭頂部までのマッサージが有効です」
「老化は抑えることができると、自分の年齢と経験から感じている」と言う川邉さん。
「70代まではそんなに変わらないのね。それが80代になると変化する。だからその前から鍛えたりお手入れしておかないと間に合わない。
更年期障害が始まったら、ここからがスタートだと思ったほうがいい。そのためには、体のメッセージを聞いてあげること。意外とみんな、自分のことがよくわかっていないのよ。自分をもっとよく見て聞いて、手をかけてあげて。料理と同じで、下ごしらえをしっかりやっておくことが大切よ」
サロンを訪れてアドバイスを求める人に対しては、まず変えたほうがよくなる点を見つけるようにしている。
「カバーする方法が見つかれば、よいところは後でついてくる。メイクはフィジカルなものだから、それによってメンタルが変わります。だからクロワッサン世代にはきちんとお化粧してほしい。自信がつけば、きれいになるとともに元気になれると思うのよね」
『クロワッサン』1088号より