食物繊維には不溶性と水溶性の2種があると聞くけどどう違うの?
日本食物繊維学会理事長の青江誠一郎さんに教わります。
イラストレーション・ZUCK 構成&文・中條裕子
Q.食物繊維には不溶性と水溶性の2種があると聞くけどどう違うの?
A.カサ増しで便を出やすくする不溶性、腸内細菌のエサになる水溶性。
食物繊維に不溶性と水溶性があるのは聞いたことがあるけれど、具体的にはどんな働きをしているのだろうか。
「不溶性は水を吸って膨らむので、胃で満足感が出て、食べ過ぎを抑えることができます。食事の際に野菜を先に食べましょうというのがそれ。
あとは、カサが増して腸を刺激し、便が出やすくなります。水を吸っている時に、毒素や発がん物質も閉じ込めて出してくれるので、デトックスの効果も。そうした不溶性の働きが、最初にわかった食物繊維の機能です」
まず注目されたのは、こうした不溶性食物繊維について。その後、別の働きをする存在が明らかになってきた。
「水に溶ける水溶性食物繊維は、そのネバネバがゼリーのようになって糖分や脂肪分を包み込み、体内への吸収を緩やかにする。結果、血糖値やコレステロールを抑える働きをしてくれます」
しかも、そのまま大腸まで届いて腸内細菌のエサになってくれる。どちらの食物繊維も必要ではあるけれど……。
「便秘の人は水溶性食物繊維がより必要です。不溶性ばかりだと詰まってしまうこともあるので。逆に便が緩くなりがちな人は、水溶性を減らして不溶性を多く摂るといいですね」
Q.水溶性と不溶性を、食事に上手に取り入れる方法は?
A.まずは水溶性食物繊維を、積極的に摂ることを心がける。
同じ食物繊維と名が付いていても、実はなかなか摂りにくいのが、水溶性。
「それのみを含むという食材はなく、水溶性を含む食材であれば、自然に不溶性食物繊維も一緒に摂れてしまいます。まずは水溶性を意識して摂るように心がけてください。
たとえば、穀物なら大麦とオートミール、野菜ではごぼうといった根菜類、果物はペクチンを含むキウイなど。あとはワカメ、ひじき、昆布をはじめ海藻類。最後にオリゴ糖を含む豆類です。
そうした食材を使った副菜が食事の際に何かしら出てくると、けっこうな量が摂れますよ」
主食、副菜にあと1品、サラダを足すと普段の食卓にも取り入れやすい。ただし、そこには落とし穴が。
葉物野菜は不溶性食物繊維が主。たっぷりのレタスやケールには、水溶性を多く含む豆や海藻、果物などのちょい足しを。
『クロワッサン』1085号より