からだ

原因がわからない腰痛、精神的な問題かも?

ストレスによって自律神経が乱れることで生じる「精神的な腰痛」。
その症状や対策を整形外科医の伊藤晴夫さんに話を聞きました。
  • 文◦山下孝子  イラスト◦宇和島太郎、松元まり子 

精神的な腰痛(ストレスによって自律神経が乱れることで生じる痛み)

(どんな症状ですか?)ストレスが要因で痛みの出方が変化する

腰痛というと、重いものを持ったり、悪い姿勢を続けたりという肉体的・物理的な要因によって引き起こされるものというイメージがありますが、近年の研究によって、ストレスや疲労などの心理的・社会的要因も腰痛の原因となることがわかってきています。

慢性的なストレスや疲労を抱えていると、体の状態を整える自律神経のバランスが乱れ、それが筋肉や血液循環に悪影響を与えて腰痛を引き起こすことがあります。例えば、うつ病の人の約半数が腰痛を訴えているとされています。

ストレスまたは疲労といった心因性の腰痛の場合、骨には異常がないケースがほとんどで、日によって痛みが発生する時間帯や部位が変わるのが特徴です。また、痛みや疲労感とともに、不安感や睡眠不足、頭痛や胃腸障害などの症状を併発することが多いようです。

悪い姿勢や運動不足など肉体的な原因に心当たりがない場合は、心因性の腰痛を疑いましょう。

【ストレス解消におすすめの方法】

(1) 適度な運動
ウォーキングなど適度な運動でストレスが自然と解消されるうえ、血行がよくなり、筋肉も鍛えられます。

(2) 湯ぶねにつかる
お湯で体が温まるだけでなく、たっぷりのお湯につかることで精神をリラックスさせることができます。その際、浴室を暗くするとリラックス効果が上がります。

(3)質のよい睡眠
睡眠不足はストレスを加速させるため、1日7時間ほど睡眠を取りましょう。就寝の1〜2時間前に入浴し、就寝前に軽く体を動かすと寝つきがよくなります。

(4)趣味を楽しむ
好きなことに打ち込むことで、抱えているストレスを忘れたり、悩む時間を減らしたりできます。無理をせず、自然体で楽しめる趣味を見つけましょう。

(5)よく笑う
大声で笑うことで交感神経の緊張が和らぎ、リラックスしやすくなります。お笑い番組を視聴したり、おもしろい漫画を読んだりして積極的に笑いましょう。

(6)旅行をする
非日常を味わう旅行によって気分転換できます。行き先は自由ですが、おすすめは(2)と関連して温泉です。

伊藤晴夫

伊藤晴夫 さん (いとう・はるお)

整形外科医

メディカルガーデン整形外科院長。JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)元副院長・整形外科部長。岐阜大学医学部卒業。腰痛疾患や股関節疾患の臨床に長年携わり、一流アスリートの治療にもあたっている。『腰痛の運動・生活ガイド』(日本医事新報社)、『腰痛をすっきり治すコツがわかる本』(永岡書店)など、腰痛関連の著書・監修書多数。

※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、ぎっくり腰もスッキリ! 腰痛の新常識』(2020年8月27日発行)より。

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