日本では冬になると空気が乾燥するため、夏よりもスキンケアに時間を割く女性は多いでしょう。
しかし、肌が乾燥する環境は粘膜にとってもよくありません。粘液によって常に適度に湿っている鼻の粘膜も湿度が低いと乾燥し、鼻をかみたいのに鼻水が出ない、鼻の奥がむずむずするといった症状のドライノーズ(乾燥性鼻炎)になってしまいます。悪化すると鼻血が出てしまうこともあるそうです。
「冬に多い鼻の粘膜の乾燥を予防するためには、まず加湿器などを使って湿度を上げる必要があります。
湿度が40%以下になるとウイルスの活動性が上がり、粘膜の繊毛運動が低下しやすくなる一方で、60%以上になるとダニやカビが繁殖しやすくなります。
加湿器を使うと湿度が急激に上がることもあるため、湿度計で正確な湿度をこまめに測れるようにしておくとよいでしょう」
ただし、貯水部分で細菌やカビが繁殖すると空気中にまき散らすことになるので、こまめな手入れも大切とのことです。
なお、布団が湿りそうだからと寝室で加湿器をつけるのを敬遠する方もいますが、その場合はどうしたらよいでしょうか。
「マスクを着けて寝る方法も効果的ですが、今は寝るときまでマスクは着けたくない人も多いでしょうね。水気を絞った濡れタオルを枕元に置くのが一番簡単で効果的ですね」
加湿以外で北西さんがすすめる鼻の粘膜の乾燥予防は、セサミオイルを鼻にたらすアーユルヴェーダの治療法です。鼻炎の症状を改善させた臨床の報告もあるそうで、期待できます。
ユーカリやペパーミントなど、抗炎症作用があり鼻やのどの粘膜にやさしいアロマオイル、コパイバマリマリという南米産のケアコスメ、さらに乾燥した口のなかで雑菌が繁殖しないように口呼吸を鼻呼吸にすることなども、鼻の乾燥や炎症の予防に効果があります。
ちなみに、花粉症で用いられる鼻うがいはインフルエンザや新型コロナの予防に有効でしょうか。
「残念ながら、鼻うがいによる新型コロナの予防効果については、現時点では研究がなされていないので何も言えません。ただ、インフルエンザやこれまでのコロナウイルスの予防や発症後の早期回復には、鼻うがいが有効であるという研究結果がすでにありますので、今後の研究が待たれますね」