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リンパマッサージで滞りを解消して、免疫力を低下させない。

顔や足のむくみなど、美容関連で注目されることが多いリンパですが、実は全身に免疫細胞を運ぶ役割も担っています。
つまり、リンパの流れをよくすることは、免疫力をアップさせることにもなるのです。

文・山下孝子 イラストレーション・宇和島太郎

おもなリンパ節の位置

リンパマッサージで滞りを解消して、免疫力を低下させない。

(1) 頬リンパ節
(2) 耳介前リンパ節
(3) 耳介後リンパ節
(4) 後頭リンパ節
(5) 顎下リンパ節
(6) オトガイリンパ節
(7) 側頸リンパ節
(8) 鎖骨上リンパ節
(9) 腋窩リンパ節
(10) 肘リンパ節
(11) 腹部リンパ節
(12) パイエル板(集合リンパ小節)
(13)総腸骨リンパ節
(14) そけいリンパ節
(15) 膝窩(しっか)リンパ節(ひざ裏)

【 老廃物を運ぶ2大体液 】

リンパマッサージで滞りを解消して、免疫力を低下させない。

●1分で全身を巡る。

全身に栄養や免疫細胞を運んでくれる体液で、1分足らずで全身を巡って心臓に戻る。また、細胞から出た老廃物を回収する役割も担っているが、毛細血管を通らない大きさの老廃物は回収できない。

リンパマッサージで滞りを解消して、免疫力を低下させない。

●循環に半日以上かかる。

毛細血管の周囲にある毛細リンパ管が吸収した水分のこと。血液と同じく免疫細胞を運び、毛細血管に取り込まれない老廃物を回収。ただし、ゆっくり流れ足のリンパの場合ゴールにつくまで12時間ほどかかる。

意外と知らない? リンパの役割。

人間の体は約60兆の細胞で構成され、全身を流れる血液が細胞に栄養や酸素を届けます。そして、配達が終わった血液は毛細血管で細胞が出した老廃物や余分な水分を回収しますが、毛細血管に取り込まれない水分は周囲に分布している毛細リンパ管が回収を担っています。

「毛細血管に入らない大きさの老廃物、体内に侵入した細菌や有毒物質などもリンパは回収するため、リンパが流れるリンパ管は『体の排水管』とも呼ばれています」と語ってくれたのは、リンパドレナージ(医療用リンパマッサージ)の日本における第一人者である佐藤佳代子さんです。

「老廃物を回収するとき、毛細リンパ管には血液中に含まれるアルブミンというたんぱく質も流れ込んできます。実は、このアルブミンが人間の免疫にとって非常に重大な役割を果たすことが、最近の医学会研究でわかってきました」

それはどういうことなのか。具体的には、リンパ節やリンパ管を流れるほど、リンパに含まれるアルブミン濃度が高くなり、それに比例してリンパ節から免疫において重要な働きをする白血球の一種であるリンパ球の放出が高まるとのことです。

リンパ球といってもさまざまな種類がありますが、具体的には人間に生まれつき備わっている免疫力(自然免疫)で重要な役割を果たすナチュラルキラー細胞(NK細胞)が活性化されやすくなります。

リンパの流れが滞ってむくみが定着してしまうと、こうした効果は得られませんが、リンパマッサージでリンパの巡りをよくしてあげれば、免疫力をより良い状態で保つことができます。

しかし、おもなリンパ節の位置を知らない人は多いはず。体のどの部分をどんな風にマッサージすればリンパの巡りはよくなるのでしょうか。

「毛細リンパ管は全身に存在しますが、むくみを軽減したり疲労回復の目的でリンパマッサージを行う場合は、とくに足に行うのが最適とされます。その理由について、リンパマッサージの正しいやり方とともに説明していきましょう」

リンパは夜眠っている間に体の端から鎖骨まで移動する。

リンパは左右にある鎖骨の下のくぼみで静脈に合流します。鎖骨から上のリンパは重力に従って流れますが、鎖骨から下のリンパは重力に逆らう必要があります。ところが、リンパ管にはポンプのように液体を強力に押し出す機能はなく、自らに備わる緩やかな収縮機能と、呼吸による腹圧の変化、周辺に存在する筋肉の動きにサポートを受けて流れています。そのため、昼間は体を動かすことで収縮・弛緩を繰り返し筋肉に助けられ、夜の睡眠時に体を横にして「動」の影響から解放されることで、リンパは時間をかけて移動することができます。

【リンパの流れによい寝る姿勢。】

【 横向き 】

リンパマッサージで滞りを解消して、免疫力を低下させない。

2枚重ねの座布団やクッションの上に片方の足を乗せ、そのひざを軽く曲げる。そうすることで、横向きになったときに下になる足に上の足の重みがかからなくなり、その分リンパの流れがせき止められずにすむ。

【 仰向け 】

リンパマッサージで滞りを解消して、免疫力を低下させない。

2枚重ねをした座布団の上に足を乗せ、ひざからかかとまでが水平になるようにする。ひざよりもかかとの位置が高いほうが傾きもできてリンパはよく流れるように思えるが、腰に負担がかかるので注意しよう。

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