朝の忙しい家事時間にできる「ながらエクササイズ」。
撮影・青木和義 イラストレーション・植松しんこ 文・黒澤 彩
運動不足と自覚はしているけれど、慌ただしい日々の中では運動はいつも後回しになってしまう。たとえ一日10分でも5分でも、その“時間を作る”ことが意外に難しい。
家での時間泥棒、それはずばり家事だ。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、夫婦2人以上の家庭において妻が家事に費やす平均時間は、なんと一日4時間以上。この時間をもっと有効に使わない手はないだろう。掃除や洗濯といった家事をしながらでもできる簡単なエクササイズで、運動不足を少しでも解消しよう。
「今は外出が減り、家にいる時間が否応なしに長いので、どうしても運動量が少なくなってしまいますよね。“ながらエクササイズ”は、毎日の運動量を手軽に増やすのにすごく効果的です」
こう話すのは、パーソナルトレーナーの河村玲子さん。仕事柄、運動不足とは無縁に見える河村さん自身も、実は自分の体を動かす時間は満足に取れていないのだという。
「それでも、階段の上り下りなどちょっとした場面で、できるだけ筋肉を意識して使うように心がけています。日常生活の中にはトレーニングになるような動きがけっこうあるので、それをイメージするだけでも運動量がずいぶん違ってくるのではないでしょうか」
ながらエクササイズの場合、主役は家事なのでエクササイズのほうに意識を向けにくいことも。初めのうちは、この動きがどの筋肉に効いているのかを確認しつつ行ってみるといいそう。
「効果を得るには、なんといっても継続が大切。回数を決めると挫折しやすいので、たとえ1回でも毎日行うほうがいいと思います。家事と連動させれば習慣付けしやすいですね」
家事エクササイズ、基本の考え方。
(一)家事の動きにはたくさんの「運動」が隠れている。
(二)時間を作らなくても一日の運動量を増やせる。
(三) 「効いている部分」を意識してみると効果アップ。
「ながら運動」の基本的な考え方がこちら。座骨を立てた正しい姿勢で座り、膝の間にフェイスタオルを挟むだけ。その状態をキープすることで内腿の筋肉が鍛えられる。
『クロワッサン』1043号より